概要
十戒は、『出エジプト記』20章および『申命記』5章に記される、神がシナイ山でモーセ(モーセ)に授けたとされる10の戒律。ユダヤ教・キリスト教双方の倫理・律法の基盤とされる。
語源
「デカローグ(decalogue)」はギリシャ語 δέκα(デカ、10)+ λόγος(ロゴス、言葉)に由来し、「十の言葉」を意味する。
歴史
出エジプト記・申命記の間で十戒の文言には細部の相違があり、単一の一貫した原文が存在するわけではない。石板に記されたという記述の史実性についても、他の出エジプト物語と同様に考古学的に検証可能な同時代史料はない。
各伝統における意味
ユダヤ教
律法(トーラー)全体を象徴的に代表する中心的規定として、シナゴーグの意匠等にもしばしば図像化される。
キリスト教
伝統的に道徳律の基盤として重視されるが、宗派によって戒律の数え方・区分(前半の対神関係の戒めと後半の対人関係の戒めへの分割方法)に相違がある。
美術
石板を掲げるモーセの図像は、レンブラントの絵画をはじめ西洋美術で繰り返し描かれた主題。個別作品は今後ノード化する。
哲学
西洋の法哲学・倫理学において、十戒はしばしば自然法思想の淵源の一つとして参照される。
関連ノード
- モーセ — 授与された人物
参考文献
- William H.C. Propp, Exodus 19–40: A New Translation with Introduction and Commentary, Anchor Bible, Doubleday, 2006. — 十戒を含む出エジプト記後半の標準的学術注解
- James L. Kugel, The Bible As It Was, Harvard University Press, 1997. — 聖書物語の古代における解釈史を扱う学術研究