概要
セージ(コモンセージ、学名 Salvia officinalis)は、地中海沿岸原産のシソ科植物。西洋薬草学では木星(木星)に支配される植物とされ、その属名自体が「治す・救う」を意味するラテン語に由来するとおり、古代から健康・長寿と結び付けられてきたハーブである。
語源
属名 Salvia はラテン語 salvere(「健康である・救われる」)に由来するとされる。英語 sage は、この salvia が古フランス語 sauge を経由して英語に入った語形。
歴史
古代ローマの博物学者大プリニウス『博物誌』(1世紀)に、薬用植物としての記載がある。中世ヨーロッパの医学の中心地であったサレルノ医学校に由来する教訓詩『サレルノ養生訓(Regimen Sanitatis Salernitanum)』には、「セージの育つ庭を持つ者がなぜ死ななければならないのか」という趣旨のラテン語の対句が伝わり、長寿・健康の象徴として広く知られるようになった。ニコラス・カルペパー『イングリッシュ・フィジシャン』(1653年)は、セージを木星支配の植物とし、肝臓を強め血を増す効能があると説いた。
各伝統における意味
占星術的薬草学
木星が司る肝臓・血液・生命力との対応から、長寿・治癒・知恵をもたらす植物とされた。
浄化儀礼における「セージ」との混同(要注意)
現代のいわゆる「スマッジング」と呼ばれる、乾燥させた葉を焚いて空間を浄化する儀礼で用いられる「ホワイトセージ」は、北米先住民の伝統に由来する Salvia apiana という別種の植物である。本項が扱う地中海原産のコモンセージ(Salvia officinalis)とは植物種としても文化的系譜としても異なるため、両者を安易に同一視すべきではない。
現代文化
料理用ハーブとしても世界的に広く利用されている。
関連ノード
参考文献
- Nicholas Culpeper, Culpeper’s Complete Herbal, 1653(近年版: Wordsworth Editions, 1995). — 占星術的薬草学における惑星対応の一次資料
- John Ordronaux (trans.), Regimen Sanitatis Salernitanum: Code of Health of the School of Salernum, 1870. — 中世サレルノ医学校の養生訓の英訳
- Margaret Baker, Discovering the Folklore of Plants, 3rd ed., Shire Publications, 2001. — 西洋の植物民俗誌の標準的概説書