概要
カインとアベルは、『創世記』4章に登場するアダムとエヴァの息子たち。農夫カインが、自分の供物より神に受け入れられた弟アベル(牧羊者)に嫉妬し殺害したとされる、聖書上最初の殺人物語。
語源
「カイン(קַיִן)」はヘブライ語動詞「得る・獲得する」と関連づけられる語源説明(創世記4章1節)がある。「アベル(הֶבֶל)」は「息・空しさ」を意味する語で、伝道の書のキーワード「ヘベル(空)」と同語であることから、その儚い生涯を暗示するとする解釈がある。
各伝統における意味
ユダヤ教・キリスト教内部の教説
人類最初の殺人であり、かつ兄弟間の暴力であるという点で、原罪(アダムとエヴァの堕罪)に続く「罪の連鎖・拡大」を示す物語として伝統的に読まれる。カインは殺害後、神から放浪の刑を受けるが、同時に「カインのしるし」によって他者からの復讐からも保護されるという、罰と保護が同時に与えられる複雑な扱いを受ける。
学術的読解
聖書学者は、この物語を定住農耕民(カイン)と遊牧民(アベル)という古代近東の異なる生活様式間の緊張関係を反映した物語として読む説を提示することがある。
現代文化
「カイン」の名は、現代でも兄弟殺し・裏切りの象徴として文学・大衆文化で言及される。
関連ノード
- 創世記 — 収録される文献
参考文献
- James L. Kugel, The Bible As It Was, Harvard University Press, 1997. — 聖書物語の古代における解釈史を扱う学術研究
- Ricardo J. Quinones, The Changes of Cain: Violence and the Lost Brother in Cain and Abel Literature, Princeton University Press, 1991. — カインとアベル物語の文学的受容史を扱う学術研究