概要
タロット大アルカナの19番。成功・活力・明晰さを表すとされるカード。天体としての太陽とは別のカードである点に注意(詳細は下記)。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、小さな翼を持つプット(智天使的な幼児)が雲の上でヘリオスの仮面のような太陽の円盤を掲げて空を渡る図像で描かれる。マルセイユ版になると、城壁を背景に寄り添う二人の子供(双子)が太陽の下に立ち、雫や光線が降り注ぐという構図が定着した。ライダー・ウェイト版では二人の子供が一人の裸の子供と白馬の組み合わせに置き換えられ、背景にひまわりが加わるなど、個の躍動を強調する方向へ再解釈されている。
歴史
初期のイタリアのデッキから、太陽の下で遊ぶ子供、あるいは糸を紡ぐ人物の図像として存在した。
各伝統における意味
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
ヘブライ文字の伝統的分類では、太陽(タロットカード)の配当パスであるレーシュ(ר)は「複字」に属し、伝統的7惑星のうち太陽(太陽)に配当される。天体としての太陽の名を持つカードが、パスの対応表においても太陽そのものに配当される点は22枚の大アルカナの中でも特に直接的な符合である。生命の木の第6セフィラ「ティファレト」も太陽に配当されるが(ティファレト)、これはセフィラ↔惑星の別系統の対応表であり、レーシュのパス↔太陽の対応とは出典を異にする。
美術
ライダー・ウェイト版では、大きな太陽の下で裸の子供が白馬に乗る図像として描かれる。
関連ノード
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちレーシュ(ר)のパス(path-resh)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料