辞典 / 伝統・思想体系

ビブリオマンシー


視点: 宗教 / 歴史 / 文学
テーマ: 占術

概要

ビブリオマンシー(Bibliomancy、書物占い)は、書物を無作為に開き、目に入った箇所を神託・啓示として読み解く占術。西洋では、キリスト教以前のローマにおけるウェルギリウス『アエネイス』を用いた実践と、キリスト教普及後の聖書を用いた実践という、起源の異なる2つの系譜が存在する。

語源

ギリシャ語の「書物(ビブリオン)」+「占い(マンテイア)」に由来する語。

歴史

古代ローマでは、ウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』を無作為に開いて託宣を得る「ソルテス・ウェルギリアナエ(ウェルギリウスのくじ)」という実践が行われていたことが複数の古典文献に記録されている。キリスト教の普及後、この慣習は聖書(特に詩篇(詩篇))を用いる形に置き換わり、「ソルテス・サンクトルム(聖者のくじ)」あるいは「ソルテス・ビブリカエ(聖書のくじ)」と呼ばれる実践として中世ヨーロッパで広く行われた。

各伝統における意味

ローマの異教的実践

ソルテス・ウェルギリアナエは、ウェルギリウスの詩句が神託的な権威を持つとみなされた古代ローマの文学観・宗教観を背景とする実践であった。

キリスト教における位置づけ

聖書を用いたビブリオマンシーは、聖アウグスティヌスの回心の逸話(無作為に開いたパウロ書簡の一節を読んで回心したとされる)にも見られるように、敬虔な実践として行われることもあった一方、教会当局によって占いの一種として繰り返し禁止・非難の対象ともされ、教会の立場は一様ではなかった。

現代の実践

現代では、聖書に限らず、詩集や思想書など様々な書物を用いてこの技法を応用する実践者も存在する。

文学

古代ローマの文学的権威(ウェルギリウス)が占いの道具として扱われた点は、文学史とオカルティズム史の交差点として興味深い事例である。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見