辞典 / 概念

ベレシート


視点: カバラ / 宗教 / 言語学(語源)
テーマ: 生命の木 / 旧約聖書

概要

ベレシート(בְּרֵאשִׁית、「初めに」の意)は、旧約聖書「創世記」およびトーラー全体の冒頭を飾る語である。単なる時間的な起点を示す語にとどまらず、カバラ、とりわけ神秘主義文献『ゾーハル』においては、天地創造そのものの神秘、および聖典解釈の出発点を象徴する語として特別な重みを与えられてきた。

語源

「ベレシート」は前置詞「ベ(〜において、〜でもって)」と名詞「レシート(初め、始まり)」から成る。「レシート」の語根は「頭・首位」を意味するローシュに連なり、単なる時間的先後関係だけでなく「首位のもの」「最上のもの」という含意を持つ。

歴史

ヘブライ語聖典において書物の名は慣例的に冒頭語から取られており、創世記のヘブライ語名も本節の冒頭語「ベレシート」に由来する。中世カバラの発展の中で、13世紀スペインに成立したとされる『ゾーハル』が、この一語の解釈から独自の宇宙論的注解を展開したことにより、ベレシートはカバラ的聖書解釈の代表的出発点として位置づけられるようになった。

各伝統における意味

ユダヤ教(伝統的解釈)

標準的な理解では「ベレシート・バラー・エロヒーム(初めに、神は創造された)」と読まれ、単純な時間的叙述として解釈される。

カバラ(ゾーハル)

『ゾーハル』冒頭部は、「ベレシート」を額面通りの「初めに」ではなく「レシート(初め)でもって」、すなわち「レシート」を生命の木(生命の木)における第二のセフィラ、コクマー(知恵)の異名とみなし、「コクマー(知恵)でもって、〔無限なるものが〕エロヒーム〔=ビナー、理解のセフィラ〕を創造した」という、神の内的な流出過程を語る一節として読み替える解釈を提示する。これは、創世記冒頭を単なる物質世界の創造記述としてではなく、神自身の内部で展開する流出(エマナチオ)の記述として読むという、カバラ的聖書解釈の方法論を象徴する典型例とされる。あわせて、創世記の第一節がヘブライ文字42文字から成ることから、後代のカバラ文献ではこの節が神の「42文字の御名」と結び付けられて論じられることもあるが、この対応づけの起源や体系化の時期については学術的に必ずしも一様に確定されておらず、慎重な扱いを要する。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

由来の発見

隣接の発見