概要
共時性(シンクロニシティ)は、カール・ユング(カール・ユング)が提唱した概念で、因果関係では説明できない2つ以上の出来事が、意味の面で対応し合って同時に生じる現象を指す。
語源
ユングの造語 Synchronizität(ドイツ語)に由来する。ギリシャ語 σύν(シュン、「共に」)+ χρόνος(クロノス、「時」)の合成語。
歴史
ユングは、物理学者ヴォルフガング・パウリとの長年の交流・共同研究を経て、1952年の論文「共時性:非因果的連関の原理」でこの概念を体系的に発表した。量子力学における因果律の限界についての当時の物理学的議論からも影響を受けたとされる。
各伝統における意味
分析心理学における位置づけ
ユングは、因果律に加えて、意味による結びつき(共時性)という、もう一つの世界の秩序原理を仮定した。これは集合的無意識(集合的無意識)の元型が、心の内と外の双方に同時に現れる現象として理論化された。
タロット・占星術との関連
ユング自身は、易経・占星術・タロットのような占術が機能するとすれば、それは因果関係によってではなく共時性の原理によってである、という趣旨の見解を示した。この考え方は、20世紀以降のタロット・占星術実践者の間で、占術の理論的正当化としてしばしば援用される。ただし、これはユング自身の仮説であり、共時性という概念自体の科学的検証可能性については、心理学・物理学の両分野で議論が続いている。
哲学
因果律に還元されない「意味による秩序」という発想は、東洋思想(易経の世界観など)との親和性がしばしば指摘される。
現代文化
「シンクロニシティ」という語は、心理学の文脈を離れ、「意味のある偶然の一致」全般を指す日常語として広く定着している。
関連ノード
参考文献
- C.G. Jung, Synchronicity: An Acausal Connecting Principle, Collected Works Vol. 8 (in part), Princeton University Press, 1969(原論文1952年). — 共時性論の一次資料
- Anthony Stevens, Jung: A Very Short Introduction, Oxford University Press, 1994. — ユング心理学の標準的入門書