概要
テレマ(Thelema)は、アレイスター・クロウリー(アレイスター・クロウリー)が1904年に創始した宗教哲学・魔術体系。『法の書』(『法の書』)を根本経典とし、個々人の「真の意志(True Will)」の実現を中心命題とする。
語源
「テレマ(θέλημα)」は古代ギリシャ語で「意志」を意味する語。新約聖書(例えば「主の祈り」の「御心が行われますように」)でも用いられる語であり、クロウリー独自の造語ではない。
歴史
クロウリーは1898年に黄金の夜明け団(黄金の夜明け団)に入団したが、団の内部対立を経て脱退した後、1904年にエジプトのカイロで『法の書』を著したと主張し、これを核とする独自の思想「テレマ」を創始した。以後、著書・雑誌『エクイノックス』の刊行、教団オルド・テンプリ・オリエンティス(O.T.O.)の指導などを通じて体系化を進めた。
各伝統における意味
テレマ内部の教説
中心命題は「汝の意志することを行え、それが法の全てとならん(Do what thou wilt shall be the whole of the Law)」という一節に集約される。ここでいう「意志」は単なる欲望・気まぐれではなく、個人が生まれながらに持つとされる本質的な使命・目的(「真の意志」)を指すとされ、これを見出し実践することが倫理的な指針であるとされる。
黄金の夜明け団以降の西洋秘教における位置づけ
テレマは、黄金の夜明け団が体系化したヘルメス・カバラの対応表・儀式技法を土台としつつ、それを離れてクロウリー独自の宗教哲学として展開されたものであり、黄金の夜明け団の公式教説そのものではない。
研究者の見解
宗教研究者は、テレマを19世紀末〜20世紀初頭の西洋秘教復興運動の中で生まれた、個人主義的な新宗教運動の一つとして位置づける。
文学
『法の書』をはじめ、クロウリーの多数の著作がテレマの思想を展開する一次資料となっている。
現代文化
20世紀後半以降の西洋のオカルティズム・ネオペイガニズム運動の一部に、テレマの思想の影響が指摘される。
関連ノード
- アレイスター・クロウリー — 創始者
- 『法の書』 — 根本経典
- 黄金の夜明け団 — クロウリーが一時所属し、後に離れて独自の体系を興した結社
参考文献
- Lawrence Sutin, Do What Thou Wilt: A Life of Aleister Crowley, St. Martin’s Griffin, 2000. — テレマの成立過程を含むクロウリー研究の標準的な伝記
- Richard Kaczynski, Perdurabo: The Life of Aleister Crowley, rev. ed., North Atlantic Books, 2010. — クロウリーの生涯と思想体系を扱う詳細な研究伝記
- Marco Pasi, Aleister Crowley and the Temptation of Politics, Routledge, 2014. — テレマの思想史的文脈を扱う近年の学術研究