辞典 / 組織

黄金の夜明け団


視点: 西洋魔術 / ヘルメス思想 / 西洋占星術 / タロット / カバラ / 歴史
テーマ: 西洋魔術

概要

黄金の夜明け団(Hermetic Order of the Golden Dawn)は、1888年にロンドンで設立された近代西洋秘教結社。占星術・タロット・カバラ・錬金術・儀式魔術を一つの統合的な対応体系(ヘルメス・カバラ)にまとめ上げたことで知られ、本プロジェクトが多数のノードで参照する「セフィラ↔惑星」「パス↔ヘブライ文字↔タロット」等の対応表の多くは、この団体が体系化したものに由来する。

語源

「黄金の夜明け(Golden Dawn)」という名称の由来は諸説あり、確定した定説はない。

歴史

1888年、ウィリアム・ウィン・ウェストコット(ウィリアム・ウィン・ウェストコット)、サミュエル・リデル・マグレガー・メイザース(サミュエル・リデル・マグレガー・メイザース)、ウィリアム・ロバート・ウッドマン(ウィリアム・ロバート・ウッドマン)の3人によってロンドンで創設された。彼らは暗号文書「サイファー・マニュスクリプト」を入手し、そこに記された儀式体系をもとに団体を組織したと主張したが、この文書の出所や真正性については創設当初から疑義があり、現在では創設者たち自身による創作の可能性が高いとする研究者の見解がある。文書に用いられた暗号法が、1886年に没したフリーメイソン研究者ケネス・R・H・マッケンジー(ケネス・R・H・マッケンジー)が生前公にしていたものと類似することから、マッケンジーがこの文書の原資料の作成者、あるいは中心的な情報源だった可能性が指摘されている。1890年代に最盛期を迎え、詩人ウィリアム・バトラー・イェイツ、後に独自の魔術体系「テレマ」(テレマ)を興すアレイスター・クロウリー(アレイスター・クロウリー)らが会員として名を連ねた。1900年前後の内部対立(メイザースとクロウリーの対立を含む)を経て複数の分派に分裂し、組織としての黄金の夜明け団は20世紀初頭までに事実上解体した。

各伝統における意味

近代西洋秘教における位置づけ

薔薇十字思想(薔薇十字団)やフリーメイソンの儀礼形式を取り入れつつ、カバラの生命の木(生命の木)を骨格として、占星術・タロット・錬金術(錬金術)・エジプト神話・ヘルメス思想(ヘルメス思想)の諸要素を対応表の形で統合した。「タロット=カバラの図像的表現」という発想の骨格は、フランスの著述家エリファス・レヴィ(エリファス・レヴィ)が19世紀半ばに提示した先行研究から強い影響を受けている。この統合作業は、ユダヤ教内部のカバラ本来の教説とは別系統の、19世紀末という特定の時代・団体による再解釈であり、両者は明確に区別する必要がある。

エノキアン魔術の再発見

16世紀の学者ジョン・ディー(ジョン・ディー)が霊媒エドワード・ケリーとともに残した天使交信の記録は、黄金の夜明け団によって再発見・再解釈され、「エノキアン魔術」(エノキアン魔術)という実践的な召喚魔術体系として組織化された。これはディー自身が意図した体系化とは異なる、19世紀末の団体による創造的再構成である。

研究者の見解

歴史学者は、黄金の夜明け団を「太古から伝わる秘伝の継承者」とする自己認識ではなく、19世紀末のオカルト復興運動(ビクトリア朝オカルティズム)の産物として位置づける。創設神話(サイファー・マニュスクリプトの由来)の真正性への懐疑は、この文脈で理解される。同時期にヘレナ・ブラヴァツキー(ヘレナ・ブラヴァツキー)が創設した神智学協会も、この復興運動を代表する潮流の一つだが、儀式魔術ではなく東洋思想を取り入れた独自の宗教哲学運動であり、黄金の夜明け団とは別系統の並行した運動である点に注意する必要がある。

文学

会員であったW・B・イェイツの詩作品には、黄金の夜明け団で学んだ象徴体系の影響が指摘される。

現代文化

タロットの標準的な意味付け(ライダー・ウェイト版(アーサー・エドワード・ウェイト(アーサー・エドワード・ウェイト)が制作)を含む多くの近代タロットデッキの図像・意味体系)は、黄金の夜明け団が確立した対応表に強く依拠しており、現代の一般的なタロット理解の土台となっている。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

由来の発見

隣接の発見