概要
ジオマンシー(Geomancy、地占)は、点の集合をランダムに生成し、それを16種の図形(フィギュア)へと還元して解釈する占術。「地占」の訳語が定着しているが、実際の占技は土そのものを用いるとは限らず、紙上に点を書き並べる方法が近世以降は一般的である。
語源
英語 geomancy はギリシャ語の「大地(ゲー)」+「占い(マンテイア)」に由来する語で、アラビア語の原名「イルム・アル=ラムル(砂の学)」の訳語として中世ラテン語圏で定着した。
歴史
起源はイスラーム世界の砂占い(イルム・アル=ラムル)とされ、北アフリカを経て11〜13世紀頃に中世ヨーロッパへラテン語訳とともに伝わった。近世に入り、ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ(ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ)が著書『オカルト哲学三巻書』の中でジオマンシーの体系を詳しく論じたことで、西洋オカルティズムの中心的な占術技法の一つとして定着した。19世紀末には黄金の夜明け団(黄金の夜明け団)がこの技法を自団の教程に組み込み、既存の占星術・カバラ体系と統合する形で再整備した。
各伝統における意味
伝統的な占技
占者はまず、無心に点を連続して書き並べる動作を4回繰り返し、各回の点の数の奇偶から4本線の図形を1つずつ導き出す。得られた4つの図形(母図形)から、加算・組み合わせによって計12〜16の図形を展開し、占星術のホロスコープに似た「盾の図(シールド・チャート)」に配置して解釈する。
図形と惑星・黄道十二宮の対応
16種の図形(例: ウィア、ポプルス、フォルトゥナ・マイヨル等のラテン語名で呼ばれる)は、それぞれ特定の惑星・黄道十二宮(黄道十二宮)に結び付けられており、この対応づけは占星術の枠組みを応用したものである。
黄金の夜明け団における再整備
黄金の夜明け団は、ジオマンシーをカバラの生命の木・タロットと並ぶ実践体系の一つと位置づけ、独自の教程資料の中で図形の意味と対応関係を体系化した。
現代文化
現代のタロット・占星術と比べると実践者は少ないが、西洋オカルティズムの歴史を扱う研究・実践書では引き続き取り上げられる技法である。
関連ノード
- 黄金の夜明け団 — 19世紀末にこの技法を再整備した結社
- グリモワール — アグリッパの著作を通じてこの技法が体系化された文脈
- 黄道十二宮 — 各図形が対応づけられる占星術の枠組み
- ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ — この技法を体系的に論じた人物
参考文献
- Heinrich Cornelius Agrippa, Three Books of Occult Philosophy, trans. James Freake, ed. Donald Tyson, Llewellyn, 1993(原著1533年). — ジオマンシーを体系的に論じた近世の代表的一次資料
- Stephen Skinner, Geomancy in Theory and Practice, Golden Hoard Press, 2011. — 西洋ジオマンシー研究の標準的な現代の学術的解説書