概要
ゾディアック・マン(Zodiac Man、ラテン語で「ホモ・シニョールム」Homo Signorum)は、人体の各部位を黄道十二宮の各サインに対応させて図示した図像。この対応関係は「メロテシア(melothesia)」と呼ばれ、中世〜近世ヨーロッパの医学占星術(医学占星術)で実用的な診療指針として広く用いられた。
歴史
人体を小宇宙、天球を大宇宙とみなし、両者が対応するという世界観のもとで発展した図像で、11世紀の文献に初出が確認され、13〜14世紀の医学写本や折り畳み式暦で定着、16世紀の印刷暦にも広く採用された。最も著名な作例は、ランブール兄弟が1411〜1416年頃に制作した『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の一葉で、正面・背面の2体の人体像が十二宮に取り囲まれる形で描かれている。
各伝統における意味
医学占星術における実用
医師や理髪外科医は、瀉血や外科処置の可否を判断する際にゾディアック・マンを参照した。月が、処置を施したい身体部位に対応する星座に位置している間は、出血が制御できなくなる危険があるとされ、施術を避けるべきとされた。
参考文献
- Harry Bober, “The Zodiacal Miniature of the Très Riches Heures of the Duke of Berry: Its Sources and Meaning,” Journal of the Warburg and Courtauld Institutes, vol. 11, 1948, pp. 1-34. — ベリー公の時祷書のゾディアック・マン図像を論じた古典的研究論文
- Charles Clark, “The Zodiac Man in Medieval Medical Astrology,” Quidditas: Journal of the Rocky Mountain Medieval and Renaissance Association, vol. 3, 1982, pp. 13-38. — 医学占星術におけるゾディアック・マンの実用面を扱う基本文献