辞典 / 神格

カロン


視点: 神話 / 宗教 / 西洋美術
テーマ: ギリシャ神話

概要

カロン(古代ギリシャ語: Χάρων)は、ギリシャ神話における冥界の渡し守。死者の魂を、現世と冥界を隔てるアケローン川(あるいはステュクス川)の渡し船()で運ぶ役割を担うとされる。

ヨアヒム・パティニール『ステュクス川を渡るカロン』(プラド美術館、1520年-1524年頃)
ヨアヒム・パティニール『ステュクス川を渡るカロン』(プラド美術館、1520年-1524年頃)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

Χάρων の語源には諸説あり、確定した定説はない。

歴史

ギリシャの葬送儀礼では、死者の口に硬貨(オボロス)を含ませて埋葬する習俗が広く見られ、これはカロンへの渡し賃であるという信仰に基づくとされる。この習俗は考古学的にも多数の墓から硬貨が発見されることで裏付けられている。

各伝統における意味

冥界への通過儀礼としての渡し

カロンは、死者であれば誰でも無条件に運ぶわけではなく、渡し賃を持たない、あるいは正式に埋葬されていない魂は川岸で長く彷徨うことを強いられるとされる。この観念は、正式な葬送儀礼を行うことの宗教的重要性を強調する機能を持っていたと考えられる。

ケルベロスとの役割分担

冥界の王ハデス(ハデス)の領域では、カロンが「入口に至るまでの渡し」を、番犬ケルベロス(ケルベロス)が「入口からの脱出の阻止」を担うという、異なる段階の門番として役割が分担される。

美術

老いた渡し守として描かれる図像伝統は、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画『最後の審判』にも取り入れられ、キリスト教の最後の審判の図像とギリシャ神話由来のモチーフが混淆する興味深い事例として知られる。

文学

ダンテ『神曲』地獄篇でも、地獄の入口でカロンが死者の魂を渡す場面が描かれ、古代ギリシャ神話のモチーフが中世キリスト教文学に取り入れられた代表例とされる。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見