概要
ハデス(古代ギリシャ語: ᾍδης)はギリシャ神話における冥界の王。ゼウス(ゼウス)・ポセイドン(ポセイドン)の兄弟にあたる。冥界そのものを指す語としても用いられる。ローマ神話のプルートー(Pluto、冥王星の由来ともなった)と同一視される。
語源
Ἅιδης の語源は「見えざる者」を意味するとする説があるが、確定した定説ではない。
歴史
古代ギリシャ人はハデスを恐れ、その名を直接口にすることを避け、婉曲表現(プルートーン「富める者」など、地下からの豊穣を連想させる呼称)を用いることが多かったとされる。
各伝統における意味
ギリシャ神話
三兄弟(ゼウス・ハデス・ポセイドン)によるくじ引きで冥界の支配権を得たとされる。冥界の入口は番犬ケルベロス(ケルベロス)が守り、死者が抜け出すことを防ぐとされる。冥界への川を渡る際には、渡し守カロン(カロン)に渡し賃を払う必要があるとされた。ペルセポネー(ペルセポネ)を冥界にさらい、その妻とした神話は、四季の巡りの起源を説明する神話としても知られる。ギリシャ神話の他の神々と異なり、地上に姿を現すことは少なく、比較的静的な性格の神として描かれる。
現代における誤解
キリスト教の「地獄(悪と苦しみの場所)」のイメージがハデスに投影されることがあるが、ギリシャ神話のハデス(冥界)は善悪の裁きの場ではなく、単に死者が赴く場所として描かれており、両者は本来別の概念である点に注意が必要である。
関連ノード
- ゼウス — 兄弟
- ポセイドン — 兄弟
- ペルセポネ — 妻
- オルペウスとエウリュディケ — 竪琴の音楽に心動かされたとされる物語
- 冥王星 — 名前の由来となった惑星(ローマ神話プルートー経由)
- ケルベロス — 冥界の入口を守る番犬
- カロン — 冥界への川を渡す渡し守
参考文献
- Walter Burkert, Greek Religion, trans. John Raffan, Harvard University Press, 1985. — ギリシャ宗教研究の標準的学術文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集