概要
ヘリオス(古代ギリシャ語: Ἥλιος)はギリシャ神話における太陽そのものを神格化した神。ティーターン神族の一柱で、戦車で天空を駆け太陽を運ぶとされる。ヘレニズム期以降、アポロン(アポロン)と同一視される潮流が生じたが、本来は別個の神格である。
語源
Ἥλιος はギリシャ語で「太陽」を意味する普通名詞でもある。英語 heliocentric(太陽中心の)などの語源。
歴史
古典期以前のギリシャでは、ヘリオスはオリュンポス十二神には数えられない、独立した太陽神として信仰されていた。特にロドス島での信仰が篤く、古代世界の七不思議の一つ「ロドスの巨像」はヘリオス像だったとされる。
各伝統における意味
ギリシャ神話
4頭立ての戦車で東から西へと空を駆け、夜には海を渡って東の出発点へ戻るとされる。全てを見通す神として、誓約の証人としてもしばしば神話に登場する(アプロディーテとアレスの密会をヘファイストスに告げたのもヘリオスとされる)。
アポロンとの同一視
ヘレニズム期以降、光明を司るアポロンと、太陽そのものを司るヘリオスの性質が近いことから、両者を同一視する潮流が生じた。この同一視は後代の宗教的展開であり、古典期以前の両神格を歴史的に混同してはならない(詳細はアポロンを参照)。
美術
太陽の光冠(頭部を囲む放射状の光)を伴う姿で描かれることが多い。この図像は後のキリスト教美術における聖人の光背(ハロー)の図像的源流の一つともされる。
関連ノード
参考文献
- Walter Burkert, Greek Religion, trans. John Raffan, Harvard University Press, 1985. — ギリシャ宗教研究の標準的学術文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集