概要
ヘスティアは、ギリシャ神話における炉・家庭を司る女神。クロノスとレイア(レイア)の長女で、オリュンポス十二神の一柱に数えられることが多いが、後代の伝承ではディオニュソス(ディオニュソス)にその座を譲ったとする異伝もある。
語源
ヘスティア(Ἑστία)はギリシャ語で「炉・炉端」を意味する語そのものである。
各伝統における意味
ギリシャ神話における記述
アポロンとポセイドンの双方から求婚されたが、いずれも拒み、永遠の処女神であり続けることをゼウス(ゼウス)に誓ったとされる。他のオリュンポスの神々のように独自の神話的逸話をほとんど持たず、常に炉の傍らに静かに座す存在として描かれる点が特徴的である。
家庭・都市国家における崇拝
各家庭の炉、および都市国家(ポリス)の共同の炉(プリュタネイオン)における公的な崇拝の対象とされ、家庭・共同体の存続そのものを象徴する神格として重視された。
十二神からの「離脱」をめぐる異伝
後代の一部の伝承では、酒神ディオニュソスがオリュンポス十二神に加わるにあたり、ヘスティアが自ら座を譲ったとされる。この異伝の史的な位置づけについては学術的に一様ではない。
美術
他の神々に比べ図像表現が少なく、独自の持物(炉、あるいはケトル)を伴う地味な描写にとどまることが多い。
関連ノード
参考文献
- Walter Burkert, Greek Religion, trans. John Raffan, Harvard University Press, 1985. — ギリシャ宗教研究の標準的学術文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集