辞典 / 神格

イリス


視点: 神話 / 宗教
テーマ: ギリシャ神話

概要

イリス(古代ギリシャ語: Ἶρις)は、ギリシャ神話における虹の女神であり、神々の伝令を務める神格。虹が天と地を結ぶ橋であるという観念から、神々の意志を人間界に伝える使者としての役割と結び付けられた。

ガイ・ヘッド『黄泉のステュクス川の水を神々の誓いのためオリュンポスへ運ぶイリス』(ネルソン・アトキンス美術館、1793年頃)
ガイ・ヘッド『黄泉のステュクス川の水を神々の誓いのためオリュンポスへ運ぶイリス』(ネルソン・アトキンス美術館、1793年頃)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

Ἶρις はギリシャ語で「虹」を意味する普通名詞。英語 iris(虹彩、アヤメ属の花)もこの語に由来する。

歴史

ホメロスの叙事詩『イリアス』では、ゼウスやヘラの伝令として頻繁に登場し、特に女神ヘラ(ヘラ)に仕える専属の使者として描かれることが多い。後世、ヘルメス(ヘルメス)が神々全般の伝令として前面に出るようになるにつれ、イリスの役割は相対的に後退したとされる。

各伝統における意味

ヘルメスとの役割の違い

イリスとヘルメスはともに神々の伝令を務めるが、初期の叙事詩ではイリスが主要な伝令として描かれる場面が多く、後代になるほどヘルメスがその役割を担うようになる傾向が指摘される。両者が併存して登場する作品もあり、単純な交代というより役割の重なりを持つ並行的な存在として理解する必要がある。

虹という自然現象の神格化

天と地、あるいは神々の世界と人間界を視覚的に結ぶ虹という自然現象が、そのまま「両者を結ぶ使者」という神格の性質として直接的に神話化された点が特徴的である。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見