概要
マモンは、新約聖書に登場する「富」を意味するアラム語由来の語。中世以降のキリスト教文学・美術において、強欲を司る悪魔として人格化された。
語源
アラム語 מָמוֹנָא(マーモーナー、「富・財産」の意)に由来する。新約聖書のギリシャ語原文では μαμωνᾶς(マモーナス)として音訳されている。
歴史
新約聖書マタイ福音書6章24節・ルカ福音書16章13節で、イエス(イエス・キリスト)が「神と富(マモン)とに兼ね仕えることはできない」と説く場面に登場する。この時点では抽象的な「富」を指す語であり、固有の悪魔として明確に人格化されてはいない。中世神学・文学を通じて、富・強欲を司る悪魔として次第に人格化されていった。
各伝統における意味
新約聖書における記述
神への献身と対立するものとしての「富」を象徴的に表す語として用いられ、七つの大罪の「強欲(貪欲)」の主題と結び付く。
中世〜近世の悪魔学・文学における人格化
トマス・アクィナスなど中世神学者の議論を経て、ミルトン『失楽園』(『失楽園』)では堕天使の一柱として、強欲・地上の富への執着を体現する存在として描かれた。
文学
ジョン・ミルトン『失楽園』(『失楽園』)第1巻で、天国にいた頃から黄金の道を見て金銭欲を抱いていた堕天使として描かれる。
現代文化
「マモニズム(拝金主義)」という語は、この名に由来する。
関連ノード
参考文献
- Raymond E. Brown, An Introduction to the New Testament, Doubleday, 1997. — 新約聖書における言及箇所の標準的概説書
- Gustav Davidson, A Dictionary of Angels, Including the Fallen Angels, Free Press, 1967. — 後代の人格化の過程を含む参照文献