概要
ニケ(古代ギリシャ語: Νίκη、「勝利」の意)は、ギリシャ神話における勝利を擬人化した女神。有翼の姿で描かれ、戦争・競技における勝者に栄冠を授ける存在として、勝利者を称える図像に繰り返し用いられた。
語源
Νίκη はギリシャ語で「勝利」を意味する普通名詞そのもの。
歴史
ティーターン神族の一柱パラースと川の女神ステュクスの娘とされ、ティータノマキア(神々とティーターンの戦争)でゼウス(ゼウス)側に味方したことで、ゼウスの傍らに常に付き従う存在としての地位を得たとされる。
各伝統における意味
アテナとの結び付き
知恵と戦略の女神アテナ(アテナ)としばしば一体化して描かれ、「ニケを伴うアテナ(アテナ・ニケフォロス)」として、アテナイのアクロポリスにも専用の神殿(アテナ・ニケ神殿)が建てられるなど、都市国家の守護と勝利の観念が密接に結び付けられた。
有翼の女神という図像
翼を広げ、勝利の栄冠や棕櫚の枝を掲げる姿で描かれる図像伝統は、古代彫刻の傑作として知られる「サモトラケのニケ」(現ルーヴル美術館所蔵、紀元前2世紀頃)に代表され、後世の西洋美術における「勝利の寓意像」の原型となった。
美術
「サモトラケのニケ」をはじめ、有翼で勝利を体現する女神像は、古代から近代彫刻に至るまで繰り返し表現主題として取り上げられてきた。
現代文化
現代のスポーツ用品ブランド「ナイキ(Nike)」の名は、この勝利の女神に由来する。
関連ノード
参考文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集
- Brunilde Sismondo Ridgway, Hellenistic Sculpture I: The Styles of ca. 331–200 B.C., University of Wisconsin Press, 1990. — サモトラケのニケを含むヘレニズム彫刻研究の標準的学術文献