概要
アテナ(古代ギリシャ語: Ἀθηνᾶ)はゼウスの頭部から武装した姿で生まれたとされる、知恵・戦略・工芸を司る処女神。アテナイ(アテネ)の守護神として都市名の由来ともなった。ローマ神話のミネルウァ(Minerva)と同一視される。
語源
Ἀθηνᾶ とアテナイ(Ἀθῆναι)のどちらが語源として先行するかは学術的に確定していない。
歴史
アテナイをはじめギリシャ各地で広く信仰され、アクロポリスのパルテノン神殿はアテナに捧げられた代表的な神殿として知られる。
各伝統における意味
誕生神話
ゼウスが最初の妻メティス(知恵の女神)を飲み込んだ後、頭痛に苦しみ、頭部を割って完全武装した姿のアテナが生まれ出たという神話が伝わる。
知恵と戦略の女神
同じく戦争を司るアレスが荒々しい戦闘そのものを体現するのに対し、アテナは戦略・秩序だった知恵としての戦いを司るとされ、両者はしばしば対比的に描かれる。
英雄神話における役割
多くのギリシャ神話で、英雄たちに知恵と助力を与える守護者として登場する。ヘラクレス(ヘラクレス)の功業においても複数の場面で助力したとされ、比較神話学でいう「英雄の旅」(英雄の旅)における「助言者」の類型の代表例としてしばしば言及される。
ニケとの結び付き
勝利の女神ニケ(ニケ)としばしば一体化して描かれ、「ニケを伴うアテナ(アテナ・ニケフォロス)」としてアクロポリスに専用の神殿が建てられるなど、都市の守護と勝利の観念が密接に結び付けられた。
パリスの審判
トロイア王子パリス(パリス)による美の審判で、ヘラ・アプロディーテとともに競い合ったが敗れたとされる(『パリスの審判』を参照)。
美術
フクロウ(梟(フクロウ))・オリーブの木・アイギス(メドゥーサ(メドゥーサ)の首を付けた盾)を伴う姿で描かれるのが典型的図像。フェイディアス作とされるパルテノン神殿の巨大黄金象牙像が特に著名。
関連ノード
- ゼウス — 父
- ヘラクレス — 助力を与えた英雄
- 英雄の旅 — 「助言者」類型の代表例として言及される役割
- 梟(フクロウ) — 聖鳥
- パリス — 審判に敗れた相手
- 『パリスの審判』 — この神話を描く絵画
- メドゥーサ — 首を盾(アイギス)に取り付けたとされる怪物
- アレス — 無秩序な闘争を司り、しばしば対比される神
- ニケ — しばしば一体化して描かれる勝利の女神
参考文献
- Walter Burkert, Greek Religion, trans. John Raffan, Harvard University Press, 1985. — ギリシャ宗教研究の標準的学術文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集