概要
「英雄の旅(モノミス、単一神話)」は、世界各地の英雄神話に共通する物語構造を抽出した比較神話学上の枠組み。アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルが著書『千の顔をもつ英雄』(1949年)で提唱した。
語源
英語 monomyth はジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』からキャンベルが借用した語とされる。
歴史
キャンベルはカール・グスタフ・ユング(カール・ユング)の元型論の影響を強く受けており、世界各地の神話(ヘラクレス、ブッダ、モーセ(モーセ)など)に共通する「日常世界からの旅立ち→試練→帰還」という構造を抽出した。
各伝統における意味
比較神話学・ポピュラーカルチャー
キャンベルの枠組みは、後にジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』の脚本執筆に際して参照したことでも広く知られるようになり、現代の映画・小説の物語構造分析にも影響を与えている。
学術的には、あらゆる神話を単一の普遍的構造に還元する手法への批判(各文化の神話が持つ固有性を見えなくするという指摘)も存在する。本プロジェクトでは、この枠組みを「神話の唯一の正しい読み方」としてではなく、20世紀に提唱された特定の比較神話学的解釈の一つとして扱う。
心理学
ユング心理学の元型論・個性化過程の影響を強く受けた理論であり、ユング自身の理論とは別に、キャンベル独自の体系化として区別して扱う。
現代文化
『スター・ウォーズ』をはじめ、多くの映画・小説の脚本術・物語構造分析で参照される枠組みとなっている。
関連ノード
- ヘラクレス — 代表的事例として言及される英雄
- イアソン — 代表的事例として言及される英雄
- アテナ — 「助言者」類型の代表例
- ケイローン — 「賢者・助言者」類型の代表例
- モーセ — 代表的事例として言及される人物
参考文献
- Joseph Campbell, The Hero with a Thousand Faces, Pantheon Books, 1949. — 「英雄の旅」概念の提唱元となった原典
- Robert A. Segal, Theorizing about Myth, University of Massachusetts Press, 1999. — 単一神話論への学術的批判を含む神話理論研究