概要
マンドレイク(マンドラゴラ属の植物)は、人の形に似た根を持つことで知られる植物。西洋の薬草学・魔術伝統において、土星(土星)に支配される植物として位置づけられ、数多くの伝説に彩られてきた。
語源
「マンドレイク」はギリシャ語 μανδραγόρας(マンドラゴラス)に由来するラテン語 mandragora を経た英語名。
歴史
古代からその根の人型の形状ゆえに特別視され、催眠・鎮痛効果を持つ植物として医療的にも用いられた(実際にアルカロイドを含み、強い薬理作用を持つ)。中世〜近世ヨーロッパでは、「地面から引き抜くと悲鳴を上げ、その声を聞いた者は死ぬ(あるいは正気を失う)」という伝説が広まり、犬を使って安全に引き抜く方法が指南書に記されるなど、独自の民間伝承が発展した。
各伝統における意味
占星術的薬草学
土星に支配される植物とされ、その冷・乾の性質(四体液説における黒胆汁質との関連)から、鎮静・麻酔的な薬効と結び付けられた。
魔術的伝統
人型の根という特徴から、護符・呪物として特別な力を持つとされ、中世〜近世の魔術書(グリモワール、グリモワール)にもしばしば言及される。旧約聖書『創世記』30章、『雅歌』7章にも「恋なす」(愛の実現に関わる植物)として言及がある。
文学
「引き抜くと悲鳴を上げる」という伝説は、後世のファンタジー文学・大衆文化(『ハリー・ポッター』シリーズなど)でも繰り返し題材とされている。
関連ノード
参考文献
- Nicholas Culpeper, Culpeper’s Complete Herbal, 1653(近年版: Wordsworth Editions, 1995). — 占星術的薬草学における惑星対応の一次資料
- Anthony John Carter, “Myths and Mandrakes,” Journal of the Royal Society of Medicine, vol. 96, no. 3 (2003), pp. 144-147. — マンドレイク伝説の医学史的研究