辞典 / 神話

オイディプス神話


視点: 神話 / 文学 / 心理学
テーマ: ギリシャ神話

概要

オイディプス神話は、テーバイ王家をめぐるギリシャ神話。父を殺し母と結婚するという神託から逃れようとしながら、結果的にそれを成就してしまう悲劇的な運命の物語として知られる。

アングル『オイディプスとスフィンクス』(1808年-1827年)
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル『オイディプスとスフィンクス』(ルーヴル美術館、1808年-1827年)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

「オイディプス(Οἰδίπους)」はギリシャ語で「腫れた足」を意味するとされ、赤子の時に足を刺し貫かれて捨てられたという逸話に由来する。

歴史

古代ギリシャの叙事詩・悲劇に伝わる物語で、特にソポクレスの悲劇『オイディプス王』(紀元前5世紀)が最も著名な文学的定式化として後世に伝わった。

各伝統における意味

ギリシャ神話・悲劇における記述

テーバイ王ライオスとイオカステの子として生まれるが、「父を殺し母と結婚する」という神託を受け、山中に捨てられる。羊飼いに拾われ他国の王子として育つが、成人後に自らの出自を知らぬまま実の父を殺害し、テーバイを苦しめる怪物スフィンクス(スフィンクス)の謎を解いて王位に就き、実の母と結婚してしまう。真相が明らかになった後、母イオカステは自死し、オイディプス自身は自らの目を潰して放浪の旅に出る。

悲劇における「知らずして犯す罪」というテーマ

ソポクレスの悲劇は、意図せざる罪と運命の不可避性という主題を通じて、古代ギリシャ悲劇における「ハマルティア(過失)」概念の代表的な事例とされる。

文学

ソポクレス『オイディプス王』は西洋演劇史上最も重要な悲劇の一つとされ、アリストテレス『詩学』でも理想的な悲劇の模範として論じられた。

哲学

アリストテレスは『詩学』で、この物語を「認知(アナグノリシス)」と「逆転(ペリペテイア)」を伴う理想的な悲劇構造の例として論じた。

心理学

20世紀、ジークムント・フロイトはこの神話から「エディプスコンプレックス」(エディプスコンプレックス)という精神分析の概念を着想した。これは神話本来の主題(意図せざる運命)とは異なる、フロイト独自の心理学的再解釈である点に注意する必要がある。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見