概要
パンドラは、ギリシャ神話における最初の女性。神々の合作として作られ、ゼウス(ゼウス)から贈られた「箱(あるいは壺)」を開けたことで、この世にあらゆる災いを解き放ったとされる。
語源
「パンドラ(Πανδώρα)」はギリシャ語で「全ての贈り物」を意味する。
各伝統における意味
ギリシャ神話
ヘシオドス『仕事と日々』によれば、プロメテウス(プロメテウス)が人類に火を盗み与えたことへの報復として、ゼウスは人類に災いをもたらすためパンドラを作らせ、プロメテウスの弟エピメテウスに与えた。パンドラが開けた壺(後世の伝承で「箱」に変化)からは、あらゆる災い・苦しみが世界に飛び出したが、最後に「希望」だけが壺の中に残ったとされる。この「希望が残ったこと」自体を災いの一つと見るか救いと見るかは、古代から解釈が分かれている。
「箱」への変化
原典のギリシャ語では「壺(ピトス)」だが、16世紀の人文主義者エラスムスがラテン語訳の際に「箱(ピュクシス)」と誤訳したことが、後世に広く定着した「パンドラの箱」というイメージの起源とされる。
文学
「パンドラの箱を開ける」は、取り返しのつかない災いを引き起こす行為の比喩として、現代でも西洋文化圏で広く用いられる慣用句。
関連ノード
参考文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集
- Hesiod, Theogony and Works and Days, trans. M.L. West, Oxford University Press, 1988(原典 紀元前8世紀頃). — パンドラ神話を伝える最古級の文献
- Dora Panofsky and Erwin Panofsky, Pandora’s Box: The Changing Aspects of a Mythical Symbol, Bollingen Series, Pantheon Books, 1956. — 「壺」から「箱」への変容を含む図像史研究の古典