概要
アブラハム・アブラフィア(Abraham Abulafia、1240年-没年不詳)は、13世紀スペイン出身のユダヤ神秘家。「預言的カバラ」(カバラー・ネヴィイート)、あるいは「エクスタシー・カバラ」と呼ばれる独自の瞑想体系を確立したことで知られる。
歴史
サラゴサに生まれ、20歳の頃に伝説の川サンバティオンを求めて聖地へ旅立つが、モンゴル軍の侵攻により引き返し、その後10年間ギリシャや南イタリアを放浪しながらマイモニデスの哲学を学んだ。以後、各地を巡り弟子を集める遍歴の神秘家として活動。1280年代初頭、バルセロナの権威あるラビ、ソロモン・ベン・アブラハム・イブン・アドレト(ラシュバ)から、メシア的言動と預言者的主張を理由に厳しく非難され、破門的な扱いを受けた。
各伝統における意味
カバラ
アブラフィアの体系は、ヘブライ文字と神の御名の組み合わせ・並べ替えを瞑想の技法として用い、瞑想を通じて預言的な意識状態に至ることを目指す点で、セフィロトの体系的な思弁を中心とする同時代の「理論的カバラ」とは一線を画す。この技法は後世「文字のカバラ」とも呼ばれ、ゲマトリア(ゲマトリア)やテムラー(テムラー/ツェルフ)といった文字操作技法とも深く結びついている。
参考文献
- Moshe Idel, The Mystical Experience in Abraham Abulafia, State University of New York Press, 1988. — アブラフィア研究の標準的学術文献
- Gershom Scholem, Major Trends in Jewish Mysticism, Schocken Books, 1941. — アブラフィアの預言的カバラを論じた古典的基礎文献