概要
大アルベルトゥス(Albertus Magnus、1200年頃-1280年)は、実在した中世スコラ学の神学者・哲学者・自然科学者。トマス・アクィナスの師としても知られ、後代に多くの錬金術書・魔術書が仮託される権威となった。
語源
「マグヌス(大いなる)」は、生前・死後を通じてその博学ぶりに与えられた尊称。
歴史
ドミニコ会士として、アリストテレス哲学の注釈・体系化に大きな業績を残し、当時のヨーロッパで最も博学な人物の一人として広く尊敬された。1931年、カトリック教会により列聖・教会博士に列せられている。
各伝統における意味
実在のスコラ学者として
自然科学(鉱物学、植物学、動物学)から神学・哲学まで、当時の学問全体にわたる著作を残した。実証的な観察を重視する姿勢は、当時としては先進的であったと評価される。
後代の仮託著者として
生前の博学ぶりから、死後、実際には彼が著したのではない多数の錬金術書・魔術書(『大アルベルトゥスの書』『小アルベルトゥスの書』など)が、権威づけのため彼の名に仮託されて流布した。これは中世〜近世のグリモワール(グリモワール)文献に広く見られる、著名な権威への仮託という現象の代表例である。
哲学
アリストテレス哲学のラテン西方への本格的な導入・体系化において重要な役割を果たした。
関連ノード
参考文献
- Irven M. Resnick (ed.), A Companion to Albert the Great: Theology, Philosophy, and the Sciences, Brill, 2013. — 大アルベルトゥス研究の標準的学術文献
- Owen Davies, Grimoires: A History of Magic Books, Oxford University Press, 2009. — 仮託されたグリモワール群の成立史を扱う標準的学術研究