概要
ヨハネス・ロイヒリン(Johannes Reuchlin、1455年-1522年)は、ドイツ・プフォルツハイム出身の人文主義者・ヘブライ語学者。ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ(ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ)と並び、キリスト教カバラを確立した最も重要な人物の一人とされる。
歴史
ヴュルテンベルク公エーバーハルトやプファルツ選帝侯フィリップに仕え、1492年には皇帝フリードリヒ3世から貴族に叙せられた。シュヴァーベン同盟の最高裁判所判事(1502年-1513年)を務めたのち、1521年にはテュービンゲン大学のヘブライ語・ギリシャ語教授に就任した。晩年には、ユダヤ教文献の焼却を主張する改宗ユダヤ人ヨハネス・プフェファーコルンらとの間で「ロイヒリン論争」と呼ばれる激しい論争を繰り広げ、ユダヤ文献の学術的価値を擁護した。
各伝統における意味
キリスト教カバラ
主著『奇跡をもたらす言葉について』(De Verbo Mirifico、1494年)と『カバラの術について』(De Arte Cabalistica、1517年)はいずれも対話形式で書かれ、カバラの教説と技法こそがキリスト教信仰の真理を最もよく論証できると主張した。特に『奇跡をもたらす言葉について』では、神の名YHWHとイエスのヘブライ語名「イェホシュア」を重ね合わせたYHSWHという語を提示し、これがイエスこそ真のメシアであることを示す「奇跡の言葉」だと論じた。この二著によってロイヒリンは当代随一のキリスト教カバラ研究者として名を馳せ、コルネリウス・アグリッパ(コウネリウス・アグリッパ)やパラケルスス、さらに後年のロバート・フラッドにまで大きな影響を及ぼした。
参考文献
- Charles Zika, “Reuchlin’s De Verbo Mirifico and the Magic Debate of the Late Fifteenth Century,” Journal of the Warburg and Courtauld Institutes, vol. 39, 1976, pp. 104-138. — 『奇跡をもたらす言葉について』の思想史的位置づけを扱う学術論文
- Johannes Reuchlin, On the Art of the Kabbalah (De Arte Cabalistica), trans. Martin and Sarah Goodman, intro. G. Lloyd Jones, University of Nebraska Press, 1993(初版1983年、原著1517年). — 主著『カバラの術について』の標準的英訳版