概要
百合(特に白い「マドンナリリー」)は、純潔・無垢を象徴する花として、キリスト教美術で聖母マリアの図像的持物となった。大天使ガブリエル(大天使ガブリエル)による受胎告知の場面に描き込まれることが特に多い。
各伝統における意味
受胎告知の図像
中世〜ルネサンス期の受胎告知(アヌンツィアツィオーネ)を描いた絵画では、ガブリエルが白い百合の花を手に持つ、あるいは画面に百合の花瓶が置かれる構図が定型化した。この百合は、聖母マリアの処女性・純潔を視覚的に示す持物として機能する。
紋章・世俗的用法
図式化された百合の意匠(フルール・ド・リス)は、フランス王家の紋章をはじめヨーロッパの紋章学で広く用いられたが、これは宗教的な純潔の象徴とは別系統の、世俗的な権威の意匠として発展した用法である点に注意が必要である。
ルノルマンカード
ルノルマンカード(ルノルマンカード)では、百合は純粋さ・平穏・家族的な調和、あるいは(伝統によっては)円熟した性的な成熟を象徴するカードとして用いられる。
美術
フラ・アンジェリコ、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、受胎告知を主題とした作品の多くに、百合の花が描き込まれている。
関連ノード
参考文献
- Gertrud Schiller, Iconography of Christian Art, Vol. I, trans. Janet Seligman, Lund Humphries, 1971. — 受胎告知図像における持物の学術的整理
- J.E. Cirlot, A Dictionary of Symbols, trans. Jack Sage, 2nd ed., Routledge, 1971. — 象徴図像学の標準的参照辞典