辞典 / 伝統・思想体系

ルノルマンカード


視点: 歴史 / 現代文化
テーマ: 占術

概要

ルノルマンカード(Lenormand Cards)は、通常36枚から成るカード占い(カルトマンシー)用のデッキ体系。タロットと並ぶ西洋のカード占術として知られるが、大アルカナ・小アルカナのような複雑な階層構造を持たず、船・犬()・蛇()・棺()といった身近な事物を描いた図像を組み合わせて読む点でタロットとは性格が大きく異なる。

語源

ナポレオン時代のフランスで活躍した著名な占い師マリー・アンヌ・ルノルマン(Marie Anne Lenormand、1772年-1843年)の名にちなむ。

歴史

「ルノルマンカード」という名で現在流通しているデッキは、彼女の没後の1846年頃にドイツの出版社から発売されたものであり、実際には18世紀末にドイツで考案されたボードゲーム「希望のゲーム(Das Spiel der Hoffnung)」の図像を土台にしている。マリー・アンヌ・ルノルマン自身がこのデッキを考案・使用したという直接的な証拠はなく、生前に高名を博した彼女の名を借りて商業的に売り出されたというのが実情に近いとされる。この点は、名称の由来と実際の考案者・使用者が異なるという、占術の歴史にしばしば見られる伝承と史実のずれの一例として注意が必要である。

各伝統における意味

カード占いとしての読み方

各カードには固有の絵柄(船、蛇、太陽(太陽)、月()など)と番号(1〜36)が割り当てられており、複数枚を並べて(グランタブローと呼ばれる全36枚展開が代表的)カード同士の位置関係から意味を読み解く。象徴の抽象度が高いタロットに比べ、日常的・具体的な出来事を占う実用的な技法として発展してきた。

タロットとの違い

タロットが占星術・カバラ・錬金術など複数の秘教的体系と結び付けられながら発展したのに対し、ルノルマンカードはそうした秘教的な理論的枠組みを伴わず、素朴な図像の組み合わせによる直接的な意味づけを中心とする点で対照的である。

図柄と他の伝統との接続

ルノルマンカードの個々の図柄は秘教的な対応体系を持たない一方、図柄そのもの(塔()、大鎌(大鎌)、分かれ道(分かれ道)、鍵()、百合(百合)、魚()、棺()、錨()、十字架(十字架)、蛇()、星()、ハート(ハート(心臓))、鳥()、犬()、指輪(指輪)、熊()、ネズミ(ネズミ)、木()、船()、庭()、クローバー(クローバー))は、ギリシャ神話・キリスト教図像・タロットなど、本プロジェクトが扱う他の伝統に由来する図像学的モチーフと重なる。ただし、これらの図柄がルノルマンカードに採用された経緯自体は、他の伝統との理論的な系譜関係を示すものではなく、当時のヨーロッパで広く共有されていた民衆版画・図像の慣用的なモチーフ群から素材を得た結果と考えられる。

現代文化

近年、欧米・日本を含む世界的なタロット人気の広がりと並行して、ルノルマンカードも独立した占術文化として再評価され、多数の現代版デッキが制作されている。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見