概要
髑髏(頭蓋骨)は、死・無常を象徴する西洋美術の伝統的モチーフ。中世末期以降、「メメント・モリ(死を忘れるな)」という警句と結びついた図像として広く用いられた。
歴史
中世末期のペスト大流行(黒死病)を経た14〜15世紀のヨーロッパでは、身分を問わず全ての人間が死神に連れられて踊る「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」という図像伝統が広まり、髑髏・骸骨のモチーフが教会壁画・木版画などで繰り返し描かれた。
各伝統における意味
キリスト教美術(メメント・モリ)
現世の栄華のはかなさを戒め、死への備えと魂の救済への意識を促す宗教的な戒めの図像として用いられた。
17世紀オランダ静物画(ヴァニタス)
髑髏・砂時計(砂時計)・消えかけた蝋燭などを組み合わせた「ヴァニタス(虚無)」と呼ばれる静物画のジャンルが、17世紀オランダで発展し、人生のはかなさを主題とした。
タロット
タロットの「死神」(死神)カードの図像は、この中世末期の死の舞踏・メメント・モリの図像伝統を直接引き継いでいる。
関連ノード
参考文献
- J.E. Cirlot, A Dictionary of Symbols, trans. Jack Sage, 2nd ed., Routledge, 1971. — 象徴図像学の標準的参照辞典
- George Ferguson, Signs & Symbols in Christian Art, Oxford University Press, 1954. — キリスト教図像学の標準的参照辞典