概要
タロット大アルカナの13番。終焉・変容・不可逆な変化を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、骸骨が金地の背景の前に単独で佇み、弓のような道具を手にする姿で描かれ、地面に人体の断片は見られない。マルセイユ版になると骸骨は大鎌を手に草地を進み、その足元から複数の生首や手が覗く図像が定着した。身分を問わず死が訪れることを説く「死の舞踏」の伝統がより色濃く反映された形であり、名称も他の大アルカナと異なり番号「XIII」のみが記され続けている。
歴史
初期のイタリアのデッキから存在する。「死神」の図像(髑髏・骸骨、髑髏を参照、大鎌(大鎌を参照))は中世末期の「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」の図像伝統を引き継ぐ。
各伝統における意味
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
ヘブライ文字の伝統的分類では、死神の配当パスであるヌン(נ)は「単字」に属し、黄道十二宮のうち蠍座(蠍座)に配当される。蠍座が伝統的に「死と再生」を司るとされることと符合する。
文学
「死の舞踏」は中世末期ヨーロッパの絵画・文学に広く見られた、身分を問わず死が訪れることを説く図像伝統。
現代文化
現代のタロット占いでは「死神」は文字通りの死ではなく、変容・終わりと始まりの象徴として読まれることが多いとされるが、これは近代以降の解釈である。同様の両義性は、棺(棺)という図像モチーフにも見られる。
関連ノード
- path-nun — 生命の木における配当パス
- 蠍座 — ヘブライ文字の伝統的分類における配当サイン
- 髑髏 — 図像の由来となるモチーフ
- 大鎌 — 図像の由来となるモチーフ
- 棺 — 同様の「終焉と変容」を主題とする図像モチーフ
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちヌン(נ)のパス(path-nun)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料