概要
タロット大アルカナの8番(体系によっては11番)。内面の強さ・忍耐・本能の制御を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、こん棒を振り上げた若い男性が獅子を打ち倒す、ヘラクレス的な勇猛の図像として描かれる。マルセイユ版になると、女性が座った獅子の口を開かせる、より静的な構図に変化し、これがライダー・ウェイト版にも受け継がれた。ただしウェイト版では女性が獅子の口を穏やかに閉じさせる図像に転換され、頭上に無限大記号が加えられており、力を暴力ではなく内面の統御として読み替える解釈が反映されている。
歴史
初期のイタリアのデッキから存在する。「力」と「正義」の番号(8番・11番)は、黄金の夜明け団以前から複数の体系で入れ替わることがあり、マルセイユ版(タロット・ド・マルセイユ(マルセイユ版))では「力」が11番、「正義」が8番とされることが多い。
各伝統における意味
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
黄金の夜明け団は「力」を8番に、「正義」を11番に配当し直した上で、力の配当パスをテット(ט)とした。ヘブライ文字の伝統的分類ではテットは「単字」に属し、黄道十二宮のうち獅子座(獅子座)に配当される。女性がライオンを制御する図像は、この獅子座への配当と符合する。
美術
女性が獅子の口を優しく閉じさせる、あるいは開かせる図像が典型的。力強さを暴力ではなく内面の統御として表現するとされる。ライダー・ウェイト版では、女性の頭上に無限大記号(無限大記号(レムニスケート))が配される。
関連ノード
- path-teth — 生命の木における配当パス
- 獅子座 — ヘブライ文字の伝統的分類における配当サイン
- 無限大記号(レムニスケート) — 頭上に描かれる図像
- タロット・ド・マルセイユ(マルセイユ版) — 「力」を11番とする番号の相違が見られるデッキ
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちテット(ט)のパス(path-teth)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料