概要
無限大記号(レムニスケート、∞)は、横向きの8の字の形をした図形で、限りなく続く循環・永遠性を表す記号。近代西洋数学に由来する比較的新しい記号でありながら、ライダー・ウェイト版タロットの図像に取り入れられたことで、西洋の秘教的象徴体系にも定着した。
語源
「レムニスケート(lemniscate)」はラテン語 lemniscus(「リボン」の意)に由来する数学用語。
歴史
無限大記号自体は、17世紀イギリスの数学者ジョン・ウォリスが1655年の著作で導入した比較的新しい数学記号であり、古代・中世の西洋象徴体系には存在しなかった。この記号がタロット図像に取り入れられたのは、アーサー・エドワード・ウェイト(アーサー・エドワード・ウェイト)監修・パメラ・コールマン・スミス(パメラ・コールマン・スミス)画のライダー・ウェイト版タロット(1909年)以降であり、比較的近代の図像的革新である点に注意が必要である。
各伝統における意味
ライダー・ウェイト版タロットにおける用法
「魔術師」(魔術師)カードでは、人物の頭上に無限大記号が描かれ、意志の力が制限を超えて発揮されることを象徴するとされる。「力」(力)カードでも同様に、ライオンを制する女性の頭上に無限大記号が描かれ、内面の力が無尽蔵であることを示すとされる。この2枚以外の初期のタロット版画にはこの記号は存在せず、ウェイト版による独自の図像的追加である。
数学記号としての性質
数学における「限りなく大きい」という概念を視覚化した記号であり、宗教的・神秘的な起源を持つ記号ではない。タロット図像への転用は、近代オカルティズムが同時代の学術的記号を象徴的に再解釈した例として位置づけられる。
現代文化
現代では宝飾品・タトゥーのモチーフとしても、「永遠の愛」「限りない可能性」を表す記号として広く用いられている。
関連ノード
参考文献
- J.E. Cirlot, A Dictionary of Symbols, trans. Jack Sage, 2nd ed., Routledge, 1971. — 象徴図像学の標準的参照辞典
- Rachel Pollack, Seventy-Eight Degrees of Wisdom, rev. ed., Weiser Books, 2019(初版1980年). — ライダー・ウェイト版タロットの図像解説を扱う標準的入門書