辞典 / タロットカード

魔術師


視点: タロット / 西洋魔術 / ヘルメス思想 / 西洋占星術
テーマ: タロット

概要

タロット大アルカナの1番。意志の力・技術・行動を表すとされるカード。

ライダー・ウェイト・スミス版タロット『魔術師』
パメラ・コールマン・スミス画『魔術師』(ライダー・ウェイト・スミス版タロット、1909年)。Public domain, via Wikimedia Commons

図像の変遷

マルセイユ版タロット『魔術師』
マルセイユ版タロット『魔術師(Le Bateleur)』(Camoin社刊、19世紀後半頃の刷り、ニコラ・コンヴェル版のパターンに基づく)。Public domain, via Wikimedia Commons
ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット『魔術師』
ヴィスコンティ・スフォルツァ版タロット『魔術師(Il Bagatto)』(1450年頃)。Public domain, via Wikimedia Commons

ヴィスコンティ・スフォルツァ版の「イル・バガット」は、毛皮縁の帽子と外套をまとった身なりの良い大道芸人が、卓上に道具を並べて座る姿で描かれる。マルセイユ版の「ル・バトゥルール」も同様に市場の手品師・いかさま師で、初期のタロッキでは低い価値の札として扱われた。ライダー・ウェイト版でウェイトとスミスは、卓上の道具を小アルカナ四スートの象徴(杯・剣・杖・ペンタクル)に置き換え、頭上に無限大記号を加えることで、俗世の香具師を宇宙の意志を体現する魔術師へと再定義した。

語源

英語 magician はラテン語 magus(ギリシャ語 μάγος、ペルシアの祭司階級マギに由来)から。

歴史

15世紀のイタリアのデッキでは「奇術師(Il Bagatto)」として、机の上で品玉を操る大道芸人・手品師の姿で描かれていた。「霊的職能者としての魔術師」という読みは近代以降のオカルト的再解釈による。

各伝統における意味

初期のタロット

大道芸人・商人としての世俗的な図像で、当時のカードゲーム内では比較的低い価値の札として扱われた。

ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈

水星(水星ヘルメス)に配当される。伝令神ヘルメス/メルクリウスの俊敏さ・技巧という神話的性質が、魔術師の「意志を現実化する力」という近代的解釈と結び付けられた。これは黄金の夜明け団による体系化以降の対応であり、15世紀の図像そのものが水星を意図していたわけではない。

美術

ライダー・ウェイト版では、机の上に四元素を表す道具、杯()・剣()・杖()・ペンタクル(金貨(ペンタクル))を並べた人物として描かれ、頭上には無限大記号(無限大記号(レムニスケート))が配される。この四つの道具は、小アルカナの四つのスートの図像そのものでもある。

関連ノード

生命の木から見た整理(任意)

本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちベート(ב)のパス(path-beth)に配当されるとされる。

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

対応の発見

隣接の発見