概要
水星は太陽系で太陽に最も近い惑星であると同時に、西洋占星術における「惑星(プラネット)」の一つとして、知性・コミュニケーション・移動・商業を司るとされる。英語名 Mercury はローマ神話の神メルクリウス(ギリシャ神話のヘルメスと同一視される、ヘルメス)に由来する。
語源
Mercury はラテン語 Mercurius に由来し、さらに merx(「商品」)と語根を共有するとされ、商業神としての性格を反映しているという説が有力である。
歴史
肉眼で観測可能な惑星として古代バビロニアの天文記録にすでに位置が記録されており、古代ギリシャ・ローマでも早くから知られていた。西洋占星術における7惑星(太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星)の体系は古代バビロニア・ヘレニズム期の天文学・占星術に起源を持つ。
各伝統における意味
占星術
現代の西洋占星術では水星は知性・言語・思考様式・短距離の移動などを司るとされる。この意味づけは占星術という実践体系内部の教説であり、天文学的事実とは区別する必要がある。
ヘルメス思想
ヘルメス思想の文脈では、惑星ヘルメス(水星)は錬金術における「水銀(マーキュリー)」という物質原理とも結び付けられ、揮発性・変容性を象徴するものとして扱われる。これは占星術上の水星の意味づけとも部分的に重なるが、由来の異なる別系統の連想である点に注意。
占星術的薬草学・宝石学
占星術的薬草学ではラベンダー(ラベンダー)、宝石誌学ではアゲート(アゲート(瑪瑙))が水星に支配される植物・石とされる。
関連ノード
- ペンタクルの5 — デカン支配星として対応する小アルカナ数札
- ペンタクルの10 — デカン支配星として対応する小アルカナ数札
- ソードの6 — デカン支配星として対応する小アルカナ数札
- カップの3 — デカン支配星として対応する小アルカナ数札
- ワンドの8 — デカン支配星として対応する小アルカナ数札
- ヘルメス — 惑星名の由来となった神
- 魔術師 — ゴールデン・ドーンの対応表における配当先タロットカード
- 双子座 — 伝統的な支配サイン
- 乙女座 — 伝統的な支配サイン
- 逆行 — 特に話題にされることの多い惑星として言及される現象
- ホド — 生命の木における対応セフィラ
- ラベンダー — 占星術的薬草学で対応づけられる植物
- アゲート(瑪瑙) — 占星術的宝石学で対応づけられる石
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では第8セフィラ「ホド」に対応するとされる。
参考文献
- Nicholas Campion, A History of Western Astrology, Volume I: The Ancient and Classical Worlds, Continuum, 2008. — 古代〜古典期の西洋占星術史の標準的学術研究
- Nicholas Campion, A History of Western Astrology, Volume II: The Medieval and Modern Worlds, Continuum, 2009. — 中世〜近代の西洋占星術史の標準的学術研究
- Tamsyn Barton, Ancient Astrology, Routledge, 1994. — 古代ギリシャ・ローマにおける占星術の実践と理論の学術研究
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表(セフィラ等)の一次資料