概要
『ダニエル書』は、旧約聖書に収められる文書。バビロン捕囚下のユダヤ人ダニエルの逸話(前半)と、終末的な幻視(後半)の2部から構成され、旧約聖書における黙示文学の代表格とされる。
語源
「ダニエル(דָּנִיֵּאל)」はヘブライ語で「神は裁く」を意味する。
歴史
物語の舞台はバビロン捕囚期(紀元前6世紀)とされるが、現代の聖書学では、後半の幻視部分が、記述内容の歴史的正確さから紀元前2世紀のセレウコス朝アンティオコス4世による迫害期に成立したとする説が有力である(事後預言、歴史をあたかも予言のように記す文学的手法)。
各伝統における意味
ユダヤ教・キリスト教内部の教説
ダニエルが偶像礼拝を拒否して獅子の穴に投げ込まれるが、神の加護により無事だったという逸話(6章)が特に著名。後半(7〜12章)では、複数の獣・王国の興亡を象徴する幻視が語られ、終末における神の王国の到来が予言される。
黙示文学としての位置づけ
象徴的な幻視を通じて終末を語るという文学形式は、新約聖書のヨハネの黙示録(ヨハネの黙示録)に直接的な影響を与えた、旧約聖書における黙示文学の代表例とされる。
美術
「獅子の穴のダニエル」は西洋美術で繰り返し描かれた主題。個別作品は今後ノード化する。
関連ノード
参考文献
- John J. Collins, Daniel: A Commentary on the Book of Daniel, Hermeneia, Fortress Press, 1993. — ダニエル書の標準的学術注解
- James L. Kugel, The Bible As It Was, Harvard University Press, 1997. — 聖書物語の古代における解釈史を扱う学術研究