辞典 / 神格

アスクレピオス


視点: 神話 / 宗教 / 西洋美術
テーマ: ギリシャ神話

概要

アスクレピオス(古代ギリシャ語: Ἀσκληπιός)はギリシャ神話における医術の神。蛇の巻き付いた杖(アスクレピオスの杖)は現代でも医療のシンボルとして国際的に用いられている。

ルーヴル美術館所蔵のアスクレピオス(アエスクラピウス)像を描いた版画(1860年頃、彫版師Jenkins)
Jenkins画『アスクレピオス像』(ルーヴル美術館所蔵の古代彫像に基づく版画、1860年頃、米国立医学図書館蔵)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

Ἀσκληπιός の語源には諸説あり、確定的な学術的合意はない。

歴史

アスクレピオス信仰は古代ギリシャ各地(特にエピダウロス)の神殿(アスクレピエイオン)を中心に、治癒を祈願する巡礼・儀礼として広く行われた。神殿での参籠中に見た夢を通じて神が治療法を告げるとされる「インキュベーション(夢による治療)」(夢占い・夢分析)が中心的な儀礼だった。ローマではアエスクラピウス(Aesculapius)として継承された。

各伝統における意味

ギリシャ神話

医神アポロン(アポロン)の子とされ、優れた医術の力を持つが、死者を蘇らせたことでゼウスの怒りを買い雷霆で撃たれたという伝承が古典期の文献に見える。医術はケンタウロスの賢者ケイローン(ケイローン)から学んだとされる異伝もある。

ローマ

共和政ローマ期に疫病対策としてアスクレピオス信仰(アエスクラピウス)が導入されたという記録が古代の史料(リウィウスなど)に残る。

美術

蛇が巻き付いた杖を持つ姿で表されるのが典型的図像。この杖(アスクレピオスの杖、単一の蛇)は、しばしば商業・伝令の象徴であるヘルメスの杖(カドゥケウス、二匹の蛇に翼)と混同されるが、両者は起源も意味も異なる図像である。

現代文化

世界保健機関(WHO)の紋章をはじめ、現代でも医療・薬学関連の組織章に蛇の杖のモチーフが広く用いられている。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見