概要
夢を神託・予兆、あるいは心的過程の表れとして読み解こうとする実践・理論の総称。古代の予知夢解釈から、20世紀の精神分析・分析心理学に至るまで、由来も方法論も異なる複数の系譜が存在する。
歴史
古代ギリシャ・ローマでは、夢は神々からの予兆・啓示として重視され、アスクレピオス神殿(アスクレピオス)での「夢による治療(インキュベーション)」のように、宗教儀礼と結び付いた実践も存在した。近代以降、ジークムント・フロイト(ジークムント・フロイト)の精神分析(『夢判断』1900年)とカール・グスタフ・ユング(カール・ユング)の分析心理学が、夢を無意識の表れとして読み解く新たな理論的枠組みを提示した。
各伝統における意味
古代の予知夢解釈
夢は将来の出来事を予告する神託の一種として扱われ、専門の夢解釈者(オネイロクリティコス)による解釈が行われた(夢判断の書を参照)。5世紀初頭のマクロビウス『スキピオの夢注解』(『スキピオの夢注解』)が提示した夢の五分類は、中世ヨーロッパの夢理論に大きな影響を与えた。
精神分析・分析心理学
フロイトは夢を抑圧された無意識的欲望の充足として、ユングは無意識・元型からのメッセージとして扱った。両者は同じ「無意識」概念を用いながらも理論的立場が大きく異なり、後に決別した(カール・ユングを参照)。
関連ノード
- 夢判断の書 — 古代の夢解釈の代表的文献
- 能動的想像法 — ユング心理学における夢の活用技法
- アスクレピオス — 夢による治療(インキュベーション)の神
- ヤコブの梯子 — 聖書における代表的な予言夢の事例
- ジークムント・フロイト — 精神分析の視点から夢を理論化した人物
- 『スキピオの夢注解』 — 夢の五分類を提示し中世の夢理論に影響を与えた文献
参考文献
- Artemidorus, Oneirocritica, English trans. Robert J. White, The Interpretation of Dreams: Oneirocritica by Artemidorus, Noyes Press, 1975. — 古代夢解釈の一次資料
- Steven F. Kruger, Dreaming in the Middle Ages, Cambridge University Press, 1992. — 西洋における夢解釈の歴史を扱う学術研究
- Sigmund Freud, The Interpretation of Dreams, trans. James Strachey, Standard Edition, Hogarth Press, 1953(原著1900年). — 近代の夢解釈理論の代表的原典