概要
ベルゼブブは、新約聖書で「悪霊どもの頭(かしら)」として言及される存在。旧約聖書に登場するペリシテ人の神バアル・ゼブブ(バアルを参照)に由来するとされる。
語源
ヘブライ語 בַּעַל זְבוּב(バアル・ゼブブ、「蠅の王」の意)に由来するとされる。これはもとの神名 בַּעַל זְבֻל(バアル・ゼブル、「高貴なバアル」の意)に対する、聖書記者による意図的な蔑称的言い換え(軽蔑を込めた語呂合わせ)である可能性が学術的に指摘されている。
歴史
旧約聖書列王記下1章に、エクロンの神バアル・ゼブブへの言及がある。新約聖書の福音書(マタイ12章、マルコ3章など)では、イエスが悪霊を追い出す力を「ベルゼブブの力による」とファリサイ派に非難される場面で、「悪霊どもの頭」として言及される。
各伝統における意味
旧約聖書における記述
ペリシテ人の都市エクロンの地方神として言及され、イスラエルの王アハズヤがこの神に伺いを立てたことが批判的に記される。
新約聖書における記述
固有の神格というより、「悪霊の頭領」を指す称号的な用法で言及される。後代のキリスト教文献・悪魔学では、七つの大罪の一つ「暴食」を司る大悪魔として位置づけられることもあるが、これは中世以降の悪魔学の体系化による後発的な割り当てである。
文学
『失楽園』(『失楽園』、ジョン・ミルトン)をはじめ、西洋文学で堕天使の一柱として繰り返し言及される。
関連ノード
参考文献
- Gustav Davidson, A Dictionary of Angels, Including the Fallen Angels, Free Press, 1967. — 個々の悪魔・堕天使の典拠を整理した参照文献
- Raymond E. Brown, An Introduction to the New Testament, Doubleday, 1997. — 新約聖書における言及箇所の標準的概説書