概要
カリテス(古代ギリシャ語: Χάριτες、英語 Graces、「三美神」とも訳される)は、ギリシャ神話における優美・魅力・美を司る三姉妹の女神。愛と美の女神アプロディーテ(アプロディーテ)の従者・随伴者として描かれることが多い。
語源
Χάρις はギリシャ語で「優美・魅力・恩寵」を意味する語。英語 charisma(カリスマ)・charity(慈愛)もこの語根に連なる。
歴史
ヘシオドスの伝承では、アグライア(輝き)、エウプロシュネ(歓喜)、タレイア(花盛り)の3姉妹とされることが多いが、地域・時代によって人数や名前の異伝が存在する。
各伝統における意味
アプロディーテの随伴者
しばしば手を取り合って輪舞する3人の裸体(あるいは薄衣をまとう)女性として描かれ、アプロディーテの美と魅力を視覚的に増幅する役割を担った。
ルネサンス期の新プラトン主義的解釈
ルネサンス期の新プラトン主義(新プラトン主義)哲学者マルシリオ・フィチーノの周辺では、三美神の輪舞が「与える・受け取る・返す」という循環的な恩寵の授受を象徴する寓意として再解釈された。サンドロ・ボッティチェリ『プリマヴェーラ』(『プリマヴェーラ』)に描かれる三美神の場面は、この新プラトン主義的解釈の代表的な視覚化とされる。
美術
輪舞する三美神という図像的定型は、古代彫刻からルネサンス絵画、近代彫刻(アントニオ・カノーヴァの『三美神』等)に至るまで、西洋美術史上最も繰り返し表現されたモチーフの一つである。
関連ノード
参考文献
- Timothy Gantz, Early Greek Myth: A Guide to Literary and Artistic Sources, Johns Hopkins University Press, 1993. — 各神話の異伝を古典文献に即して整理した標準的資料集
- Ernst Gombrich, “Botticelli’s Mythologies: A Study in the Neoplatonic Symbolism of His Circle,” Journal of the Warburg and Courtauld Institutes, vol. 8 (1945), pp. 7–60. — 三美神の新プラトン主義的解釈を確立した古典的論文