辞典 / 神格

ムーサ(学芸の女神)


視点: 神話 / 宗教 / 西洋美術 / 文学
テーマ: ギリシャ神話

概要

ムーサ(古代ギリシャ語: Μοῦσαι、単数形 Μοῦσα ムーサ、英語 Muse)は、ギリシャ神話における学芸・芸術を司る9柱の女神。詩・音楽・舞踊・天文学・歴史などの各分野を分担し、太陽神アポロン(アポロン)を統率者とする一群として活動するとされる。

ユスターシュ・ル・シュウール『クリオ、エウテルペ、タレイア』(ルーヴル美術館、1652年-1655年頃)
ユスターシュ・ル・シュウール『クリオ、エウテルペ、タレイア』(ルーヴル美術館所蔵、1652年-1655年頃)。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

英語 museum(博物館)・music(音楽)は、いずれもこの女神たちの名に由来する。

歴史

ヘシオドス『神統記』(『神統記』)冒頭では、詩人自身がヘリコン山でムーサたちから直接霊感を授かったとする場面が描かれ、詩作の権威をムーサへの信仰に基づけるという西洋文学の伝統の最古級の例とされる。主神ゼウス(ゼウス)と記憶の女神ムネモシュネの間に生まれた9姉妹とされる。

各伝統における意味

9柱への分業

後代の伝承では、カリオペー(叙事詩)、クレイオー(歴史)、エラト(恋愛詩)、エウテルペ(音楽)、メルポメネ(悲劇)、ポリュヒュムニア(賛歌)、テルプシコラ(舞踊)、タレイア(喜劇)、ウラニア(天文学)と、各ムーサに特定の分野が割り当てられるようになったが、この明確な分業体系は古典期以降に整理されたものであり、ヘシオドスの時代にはまだ確立していなかったとされる。

インスピレーションの源泉としての権威

古代から現代に至るまで、詩人・芸術家が自らの創造的霊感の源を「ムーサ」に帰す修辞的伝統が西洋文学に広く受け継がれ、英語 muse(着想の源となる人物)という一般名詞としても定着した。

文学

叙事詩の冒頭でムーサに呼びかける「ムーサの喚起(インヴォケーション)」という修辞的定型は、ホメロスからミルトン『失楽園』に至るまで、西洋叙事詩の伝統的な形式として長く継承された。

関連ノード

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見