概要
エドワード・ケリー(Edward Kelley、1555年-1597年頃)は、エリザベス朝イングランドの錬金術師・霊媒。ジョン・ディー(ジョン・ディー)と組み、水晶球や黒曜石の鏡を用いた交信セッションで霊媒(スクライヤー)を務め、天使からの啓示とされる内容を口述したことで知られる。
歴史
素性については不明な点が多く、耳を切り落とされた前科者だったとする同時代の風聞も存在するが、確証はない。1580年代前半にディーと出会い、以後数年にわたり交信セッションのパートナーを務めた。ディーとともに大陸(ポーランド・ボヘミア)を巡り、貴族の庇護を求めながら活動した。晩年は錬金術師として神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の宮廷に仕えたが、投獄され獄中で死去したとされる。
各伝統における意味
スクライヤーとしての役割
交信セッションでは、ディーが記録者を務める一方、ケリーが水晶球や黒曜石の鏡(スクライングを参照)を覗き込み、そこに現れたとされる天使の姿・言葉を口述する役割を担った。この記録が後の「エノキアン魔術」(エノキアン魔術)の一次資料となった。ケリー自身がどこまで意図的な創作を行っていたかについては、同時代から現代の研究者に至るまで評価が分かれる。
錬金術師としての側面
賢者の石の製造に成功したと自称し、ヨーロッパ各地の宮廷で錬金術師として庇護を求めた。この錬金術師としての経歴は、ディーとの天使交信活動とは別の、当人の生計を支えた実践的側面として区別される。
関連ノード
参考文献
- Deborah E. Harkness, John Dee’s Conversations with Angels: Cabala, Alchemy, and the End of Nature, Cambridge University Press, 1999. — ディー・ケリーの交信記録を扱う学術的研究
- Benjamin Woolley, The Queen’s Conjurer: The Science and Magic of Dr. John Dee, Adviser to Queen Elizabeth I, Henry Holt, 2001. — ケリーの経歴を含むディーの標準的な一般向け伝記