概要
スクライング(scrying)は、水晶球・鏡・水面など反射・透明な物体をじっと見つめることで、幻視や霊的存在との交信を得ようとする占術・魔術技法の総称。特定の単一の伝統に属するものではなく、古代から現代に至るまで多様な文化圏で独立に見られる、汎用的な幻視誘導の技法である。
語源
英語 scry は古英語 descry(「見分ける、見出す」の意)に由来する。
歴史
古代ギリシャ・ローマにも水盆に映る像を読む占術(ヒュドロマンシー)の記録があるが、西洋魔術史において特に著名なのは、16世紀のジョン・ディー(ジョン・ディー)とエドワード・ケリー(エドワード・ケリー)が水晶球・黒曜石の鏡を用いて行った天使交信の記録である。ディーが実際に使用したとされる黒曜石の鏡は、現在も大英博物館に所蔵されている。
各伝統における意味
ディー=ケリーの交信技法
ケリーが水晶球や鏡を覗き込み、そこに現れたとされる映像・人物・言葉を口述し、ディーがそれを記録するという分業形式で行われた。この記録が「エノキアン魔術」(エノキアン魔術)の一次資料となった。
近代西洋魔術における位置づけ
19世紀末以降の近代西洋儀式魔術においても、スクライングは瞑想的な幻視技法の一つとして継承され、タロットカードや黄金の夜明け団の各種象徴図(生命の木のセフィラなど)を見つめて幻視を誘導する「シンボリック・スクライング」として応用された。
関連ノード
参考文献
- Deborah E. Harkness, John Dee’s Conversations with Angels: Cabala, Alchemy, and the End of Nature, Cambridge University Press, 1999. — ディー・ケリーのスクライング記録を扱う学術的研究
- Theodore Besterman, Crystal-Gazing: A Study in the History, Distribution, Theory and Practice of Scrying, William Rider & Son, 1924. — スクライングの通文化的な実践を扱う古典的研究