辞典 / 象徴

ウロボロス


視点: 象徴 / 神話 / 錬金術 / ヘルメス思想 / 心理学 / 西洋美術
テーマ: 図像学

概要

ウロボロス(尾を飲み込む蛇)は、始まりと終わりが一致する円環構造を視覚化した象徴である。蛇という素材そのものは古代地中海世界に広く見られるが、「自らの尾を噛む」という特定の図像は、循環性・永遠性・統一性を表す独立したモチーフとして発展した。

「クレオパトラの黄金製造」写本に描かれたウロボロスの図。円環の内側にギリシャ語で「ヘン・ト・パン(一者にして万物)」の銘文
「クレオパトラの黄金製造」(Chrysopoeia of Cleopatra)、写本コデックス・マルキアヌス・グラエクス299(ヴェネツィア)所収、10〜11世紀頃。Public domain, via Wikimedia Commons

語源

古代ギリシャ語 οὐροβόρος(ourobóros)は「尾(οὐρά, oura)を飲む(βορά, bora)もの」の意。

歴史

現存最古級の確実な図像例は古代エジプトの葬送文書(『冥界の書』系統のテキストに見られる図)とされる。その後ヘレニズム期のグノーシス主義・錬金術文献に取り入れられ、中世からルネサンスの錬金術図版で頻出するモチーフとなった。

各伝統における意味

ヘルメス思想・錬金術

錬金術文献ではウロボロスは「一(ヘン・ト・パン、Ἓν τὸ πᾶν=一者にして万物、1も参照)」を表す図として用いられ、物質の変容過程が最終的に出発点へ回帰する循環性の比喩とされた。これは錬金術内部の教説であり、古代エジプトでの原義とは別の層の解釈である。

グノーシス主義

グノーシス主義文献では宇宙・時間の全体性を表す象徴として言及される。

美術

ルネサンス期の錬金術書の図版(例: 16〜17世紀の錬金術論集の挿絵)に繰り返し描かれる。個別作品の同定は今後の調査課題。

心理学

カール・グスタフ・ユング(person-carl-jung)は『変容の象徴』などでウロボロスを自己完結的な心的全体性、個性化過程の初期段階(自我と無意識が未分化な状態)を表す元型イメージとして論じた。これはユング心理学内部の解釈であり、錬金術文献自体の主張とは区別して読む必要がある。

関連ノード

生命の木から見た整理(任意)

本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。(詳細は今後追記)

参考文献

関連ノード(発見の質でグループ化)

隣接の発見