概要
タロット大アルカナの14番。調和・節度・異なるものの融合を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、翼を持たない女性像が二つの精巧な水差しの間で水を移し替える姿として描かれる。マルセイユ版になると同じ人物像に翼が加えられ、「有翼の天使」としての節制像が定着した。二つの器の間で液体を移し替えるという基本構図自体は一貫しており、この連続性がウェイト版以降にも引き継がれている。
歴史
初期のイタリアのデッキから、水を二つの器の間で移し替える人物(多くは天使)の図像として存在した。西洋美術の伝統的な四元徳(四元徳(枢要徳)、正義・思慮・剛毅・節制)の擬人像の一つに由来する。
各伝統における意味
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
ヘブライ文字の伝統的分類では、節制の配当パスであるサメク(ס)は「単字」に属し、黄道十二宮のうち射手座(射手座)に配当される。
美術
四元徳(四元徳(枢要徳))の擬人像としての節制は、中世〜ルネサンス期の教会美術・寓意画に広く見られる主題。版によっては、時間・バランスを象徴する砂時計(砂時計)が図像に加えられることもある。
関連ノード
- path-samekh — 生命の木における配当パス
- 射手座 — ヘブライ文字の伝統的分類における配当サイン
- 砂時計 — 版によって図像に加えられるモチーフ
- 四元徳(枢要徳) — この図像が由来する擬人像の伝統
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちサメク(ס)のパス(path-samekh)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料