概要
タロット大アルカナの2番。直感・神秘・内面の知を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、簡素な修道服と白いヴェールをまとった「ラ・パペッサ(女教皇)」として描かれる。マルセイユ版でも同じくラ・パペッサと呼ばれ、法王と同じ三重冠(教皇冠)を戴き、書物を手にする姿は共通する。ライダー・ウェイト版でウェイトとスミスは呼称を「女教皇」から「ハイプリエステス」に改め、ソロモン神殿の柱に由来するとされる二本の柱と帳を新たに配置し、特定の教会的権威よりも普遍的・秘教的な神秘の守護者としての性格を強めた。
歴史
初期のイタリアのデッキでは「女教皇(La Papessa)」として描かれた。中世に流布した伝説上の人物「女教皇ヨハンナ」が図像の起源の一つとする説があるが、確定した学説ではない。
各伝統における意味
初期のタロット
宗教的権威を表す図像として、皇帝・皇后・法王と並ぶ人物札の一つだった。
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
月(月)に配当される。これは黄金の夜明け団による体系化以降の対応であり、初期の図像成立時の意図とは別の層の解釈である。
美術
ライダー・ウェイト版では、二本の柱(二柱(ボアズとヤキン)、旧約聖書のソロモン神殿の柱の名に由来するとされる)の間に、帳(帳(ヴェール))を背にして座る女性像として描かれる。
関連ノード
- 月 — ゴールデン・ドーンの対応表における配当天体
- path-gimel — 生命の木における配当パス
- 二柱(ボアズとヤキン) — 図像の二本の柱
- 帳(ヴェール) — 図像の背景の帳
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちギメル(ג)のパス(path-gimel)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料