概要
タロット大アルカナの10番。運命の変転・循環・転機を表すとされるカード。
図像の変遷
ヴィスコンティ・スフォルツァ版では、目隠しをした女性が輪を回す中心に座り、輪の左右にロバの耳を持つ人物が昇り降りし、輪の下には老人が、輪の上には玉座に着いた人物が描かれる。マルセイユ版では昇る側の人物がより動物的な姿に変化し、頂点にはスフィンクスが置かれるようになった。ライダー・ウェイト版ではスフィンクスが剣を携え、蛇やアヌビス的な図像が加わるなど、エジプト神秘思想を意識した要素が付加されている。
歴史
「運命の輪」の図像は中世ヨーロッパで広く用いられたモチーフ(輪(車輪)、運命の女神フォルトゥナ(フォルトゥナ)が輪を回す図像)に由来し、タロット成立以前から独立した図像伝統として存在した。
各伝統における意味
ゴールデン・ドーン以降のオカルト的解釈
ヘブライ文字の伝統的分類では、運命の輪の配当パスであるカフ(כ)は「複字」に属し、伝統的7惑星のうち木星(木星)に配当される。拡大・幸運という木星の性質が、運命の好転というカードのイメージと結び付けられたとされる。生命の木の第4セフィラ「ケセド」も木星に配当されるが(ケセド)、これはセフィラ↔惑星の別系統の対応表であり、カフのパス↔木星の対応とは出典を異にする。
文学
中世ヨーロッパの「運命の輪」図像は、ボエティウス『哲学の慰め』などの文学作品でも重要なモチーフとして扱われた。
関連ノード
- path-kaph — 生命の木における配当パス
- 木星 — ヘブライ文字の伝統的分類における配当惑星
- 輪(車輪) — 図像の由来となるモチーフ
- フォルトゥナ — 輪を回すとされる図像上の起源となった女神
生命の木から見た整理(任意)
本項は本プロジェクト独自の整理モデルであり、歴史的事実の記述ではない。黄金の夜明け団の対応表では22パスのうちカフ(כ)のパス(path-kaph)に配当されるとされる。
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — タロットが15世紀イタリアのトリックテイキングゲームとして始まったことを実証した基礎的な歴史研究
- Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot, St. Martin’s Press, 1996. — 18世紀末以降のオカルト的再解釈(クール・ド・ジェブラン、エッティラ、レヴィ、黄金の夜明け団)の経緯を扱う
- Arthur Edward Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910. — ウェイト版タロットの意味づけの一次資料
- Israel Regardie, The Golden Dawn: A Complete Course in Practical Ceremonial Magic, 6th ed., Llewellyn Publications, 1989(初版1937-1940). — 黄金の夜明け団内部の対応表の一次資料