概要
ミンキアーテは、フィレンツェを中心に発展したタロットの拡張版で、標準的なタロットの78枚に対し、大アルカナを大幅に増補した97枚から構成される。黄道十二宮12枚、四元素4枚、神学的な三元徳(信仰・希望・愛)を追加の切り札として組み込む点を最大の特徴とする。
語源
「ミンキアーテ(Minchiate)」という名称の語源は確定していない。
歴史
ゲームの名称は16世紀のフィレンツェの記録に遡って確認されるとされ、97枚構成のデッキとしての形式は17世紀までに確立したと考えられている。フィレンツェを中心に、後にはボローニャなど周辺地域にも広がり、17〜19世紀を通じて遊戯用カードとして流通したが、20世紀初頭までにゲーム自体はほぼ廃れた。
各伝統における意味
遊戯用カードとしての増補設計
標準的なタロット(4スート×14枚+大アルカナ22枚=78枚)の構成に対し、黄道十二宮(黄道十二宮)12枚、四元素(四元素)4枚、標準タロットに既にある枢要徳(力・正義・節制)に加えて神学的三元徳(信仰・希望・愛)3枚を切り札として追加し、大アルカナ全体を41枚(40枚+無番の「愚者」)へと拡張した97枚構成を持つ。
ルネサンス宇宙論の視覚的総覧としての性格
黄道十二宮・四元素・諸徳目を一組のカードデッキの中に体系的に組み込むという構成は、同時代のフェラーラのパラッツォ・スキファノイアのフレスコ画(パラッツォ・スキファノイアのフレスコ画)に見られるような、占星術的世界観を視覚的に体系化しようとするルネサンス期イタリアの広い文化的傾向と重なる。ただし両者の間に直接の図像的系譜が実証されているわけではなく、共通の時代背景を持つ並行的な現象として扱うべきである。
美術
現存する17〜18世紀の印刷版ミンキアーテは、フィレンツェの木版画の様式を特徴とし、黄道十二宮の切り札は各サインを擬人化した図像で表される。
関連ノード
- 黄道十二宮 — 追加の切り札として組み込まれる12サイン
- 四元素 — 追加の切り札として組み込まれる4元素
- タロット・ド・マルセイユ(マルセイユ版) — 同時代の標準的なイタリア系タロッキ文化から分岐した、枚数構成の異なる地域的変種
参考文献
- Michael Dummett, The Game of Tarot: From Ferrara to Salt Lake City, Duckworth, 1980. — ミンキアーテの成立・構成を扱う基礎的な歴史研究
- Stuart R. Kaplan, The Encyclopedia of Tarot, Volume II, U.S. Games Systems, 1986. — ミンキアーテの図版・記述を収録する標準文献