概要
デカン(decan、「フェイス」face とも呼ばれる)は、黄道十二宮(黄道十二宮)の各サイン30度を、10度ずつ3等分した区分。1サイン内で複数の惑星が副次的な支配権を分担する、ディグニティの段階的体系の一つ。
語源
英語 decan はラテン語 decanus(「10人組の長」の意、ギリシャ語 δεκανός に由来)から。10度ずつの区分にちなむ。
歴史
古代エジプトの、夜空を10度おきに区切って時刻を計測する天文学的な星表(デカン星表)に起源を持つとされる。ヘレニズム期にギリシャ占星術と融合し、各デカンに惑星の支配権を配当する体系、およびデカンそれぞれを擬人化した神格の図像伝統が形成された。
各伝統における意味
占星術
各サインの3つのデカンには、順に異なる惑星が副次的な支配権を持つとされる。この配当の方式は流派によって異なり、単一の統一された体系があるわけではない。
美術における視覚化
デカンを擬人化した神格の図像は、中世アラビア占星術文献を経て西洋へ伝わり、ルネサンス期のイタリアで大規模なフレスコ画として視覚化された。フェラーラのパラッツォ・スキファノイアのフレスコ画(パラッツォ・スキファノイアのフレスコ画)はその代表例で、美術史家アビ・ヴァールブルクがこの図像の典拠を解明したことで知られる。
関連ノード
- ディグニティ — デカンが属するエッセンシャル・ディグニティの体系
- 黄道十二宮 — デカンが区分する12サイン
- パラッツォ・スキファノイアのフレスコ画 — デカンを擬人化した神格を描いた代表的作例
- ターム — 同様に段階的細分化を行うが、不均等な度数幅を持つ点で異なる体系
参考文献
- Aby Warburg, “Italian Art and International Astrology in the Palazzo Schifanoia, Ferrara” (1912), in The Renewal of Pagan Antiquity, trans. David Britt, Getty Research Institute, 1999. — デカン図像の典拠を解読した基礎的論文
- Nicholas Campion, A History of Western Astrology, Volume I: The Ancient and Classical Worlds, Continuum, 2008. — 古代エジプトのデカン星表起源説を含む占星術史の標準的学術研究