概要
ディグニティ(dignity、「品位」の意)は、西洋占星術において、ある惑星が黄道十二宮のどのサインに位置するかによって、その惑星の力の強弱・作用の質が変化するとする教説。惑星がその力を最も発揮しやすいとされる状態を「エッセンシャル・ディグニティ(本質的品位)」と呼び、逆に力が弱まるとされる状態と対で論じられる。
語源
英語 dignity はラテン語 dignitas(「価値、威厳」の意)に由来する。
歴史
古代ヘレニズム期の占星術文献にすでに体系の原型が見られ、プトレマイオス(プトレマイオス)の『テトラビブロス』(『テトラビブロス』)にも関連する記述がある。中世アラビア語圏の占星術家を経て、より精緻な段階分けを持つ体系へと発展した。
各伝統における意味
ドミサイル(在住)とデトリメント(障害)
各惑星には、力を最も発揮しやすいとされる「支配サイン(ドミサイル、ドミサイル)」があらかじめ配当されている(例: 太陽(太陽)と獅子座(獅子座)、月(月)と蟹座(蟹座))。支配サインの正反対に位置するサインでは、逆にその惑星の力が弱まる(デトリメント、デトリメント)とされる。
エグザルテーション(高揚)とフォール(転落)
支配サインとは別に、特定の惑星がとりわけ強い力を発揮するとされる「エグザルテーション(高揚、エグザルテーション)」のサインが個別に配当されており、その正反対のサインは「フォール(転落、フォール)」として力が弱まるとされる(例: 太陽のエグザルテーションは牡羊座(牡羊座)、フォールは天秤座(天秤座))。
トリプリシティ・ターム・フェイスによる段階的細分化
さらに、複数の惑星が三区分(トリプリシティ、元素によるサインの4グループ分け)・度数範囲(ターム、ターム)・10度ずつの区分(フェイス、デカンとも呼ばれる)ごとに副次的な支配権を分担する、より精緻な段階的体系も伝統的占星術に存在する。この段階的な体系は流派・時代によって細部の配当が異なり、単一の統一された正解があるわけではない点に注意が必要。なお、このトリプリシティは、活動宮・不動宮・柔軟宮による分類である三区分(モダリティ、三区分(モダリティ))とは異なる別系統の分類体系であり、日本語ではいずれも「三区分」と訳されることがあるため混同しないよう注意が必要である。
関連ノード
- 『テトラビブロス』 — 体系の理論的背景を伝える一次資料の一つ
- プトレマイオス — 体系化に関わった古代の理論家
- 黄道十二宮 — ディグニティが配当される12区分の体系
- 太陽 — ドミサイル・エグザルテーションの例に挙げた惑星
- 月 — ドミサイルの例に挙げた惑星
- 獅子座 — 太陽のドミサイル
- 蟹座 — 月のドミサイル
- 牡羊座 — 太陽のエグザルテーション
- 天秤座 — 太陽のフォール
- 三区分(モダリティ) — 本ノードの「三区分(トリプリシティ)」とは異なる別系統の分類体系(用語の混同に注意)
- ドミサイル — エッセンシャル・ディグニティの一つ
- デトリメント — エッセンシャル・ディグニティの一つ
- エグザルテーション — エッセンシャル・ディグニティの一つ
- フォール — エッセンシャル・ディグニティの一つ
- デカン — 段階的細分化の体系の一つ
- ターム — 段階的細分化の体系の一つ
参考文献
- Ptolemy, Tetrabiblos, trans. F.E. Robbins, Loeb Classical Library, Harvard University Press, 1940(原著2世紀頃). — ディグニティ論に関連する記述を含む古典的一次資料
- Nicholas Campion, A History of Western Astrology, Volume I: The Ancient and Classical Worlds, Continuum, 2008. — 古代〜古典期の西洋占星術史の標準的学術研究
- Benjamin N. Dykes (trans.), Introductions to Traditional Astrology: Abu Ma’shar & Al-Qabisi, Cazimi Press, 2010. — 中世アラビア語圏における体系化を伝える標準的英訳・注釈