概要
ニグレド(黒化、ラテン語: Nigredo)は、錬金術の大いなる業(マグヌム・オプス、大いなる業(マグヌム・オプス))における最初の段階とされる色彩変化。物質が黒く変色する過程を指す。
語源
ラテン語 nigredo は「黒さ」の意。
各伝統における意味
伝統的な色彩段階説
第一質料(第一質料)が分解・腐敗し、黒色に変じる段階とされる。この黒化は、後続の変成が起こるための前提として、物質の既存の形態が「死」に至る破壊的な過程として描写されることが多い。
20世紀の心理学的再解釈
ユング心理学では、ニグレドは個性化過程(個性化)における最初の段階、すなわち自我が無意識の内容と直面し混乱・危機に陥る局面の比喩として再解釈された。これは近代の心理学的解釈であり、錬金術師たち自身が意図した意味とは区別する必要がある。
関連ノード
- 大いなる業(マグヌム・オプス) — 上位概念
- アルベド(白化) — 後続の段階
- 三原質 — ユング心理学で並べて再解釈される別系統の理論
- 個性化 — この段階になぞらえられる過程
参考文献
- Lawrence M. Principe, The Secrets of Alchemy, University of Chicago Press, 2013. — 錬金術史研究の近年の標準的概説書
- C.G. Jung, Psychology and Alchemy, Collected Works Vol. 12, 2nd ed., Princeton University Press, 1968. — 錬金術の心理学的再解釈の代表作